ゼロの視点
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2005年01月30日(日) 3ヶ月ぶりの再会

 夫は、今年に入って早々に、私の帰国日および、空港到着時間をメールで尋ねてきていた。で、どーせ、今からきちんとメールで知らせても、忘れるんだろうなぁ・・・、と思っていたら、やっぱりそうだった。

 実際に空港に到着すると、オヤジはおらん・・・。なので、外に出て一服しながら、到着ゲートでの人の行き来をボーっと眺めていた。が、オヤジの気配は、未だなし。

 あーーあ、またはじまったぜ・・・、と思い、もう一服。

 が、さすがに外も寒いので、再び中へ入り、スーツケースを椅子にして座っていると、斜向かいのドアから、全力疾走で走りこんでくるかすかに見覚えのあるシルエット・・・・・・。

 その瞬間、なかなか見つからないようなところへ、すっとスーツケースごと移動して隠れる私。さあて、オヤジはどんな行動をとるのか?!?!?!。

 ドアから走りこんできたオヤジが、そのまま一直線に到着ゲートに走りこんでいく姿は、まるでアホな犬のよう・・・。左右を見ることも知らんのか?!?!?!、と影から突っ込みを入れながら、まだ、ここでオヤジのことを呼んでやらずに、観察する私。

 昔、やはり私が日本からひとりでこの空港へ戻ってきた時、同じように送れて私を迎えにきたオヤジ。どこを見渡してもいないオヤジを探すようにして、フラフラと空港内を歩いていると、向こうから空港関係者と話しながら歩いてくるオヤジを発見。

 “オヤジーーーっ”と声をかけてみるのだが、オヤジ本人は、遅れてしまったという焦りから空港関係者をとっ捕まえて、その人に、オヤジは私の特徴を伝えながら、探させている最中だった。

 “日本人だけれど、デカくて、おまけに態度もちょっとデカい、ちょっとは派手めで、ロングヘアーの女を探してくれ”と、空港関係者に言いながら、その特徴そのままの人間の横を走り去っていったオヤジ・・・。

 おい、おい、きさまは、本当にまっすぐしか見ないのか?!?!?!、と、この時学んだ。

 なぜ、そこまで大騒ぎして、本人を目の前にして通り越していくのか、わたしの理解を超えているが、それがオヤジの日常。で、その時も、横を空港関係者とともに走り去っていった夫のうしろを、静かに小走りで尾行したものだった(笑)。

 そのまま走り続けてゲートのまん前に到着した夫は、ただ、ゲートの方向を向いたままずうっと係員と話し込んでいた。で、ようやくアタマをうしろに回すという可能性があったことに気がついたかのように、ふと、彼が振り向くと、そこに私がいるのを発見して、キャーーっと奇声を挙げる、オヤジ。

 オカルト映画じゃないんだから、自分の妻を背後に発見して、そこまで驚くなよ、オヤジィ・・・。

 で、立て続けに、いかに私を探し回ったか?、等と正当に聞こえそうな理由を振りかざし怒り出す、横暴なオヤジ。

 で、黙って話すだけ話させて、

私『知ってるよ、さっき慌ててやってきて、自分で探すのをあきらめて、適当に人のよさそうな空港係員をとっ捕まえて、その人に私を探させようとしてたのも、何もかも、知ってるよ』

夫『なんだ、それっ!!!』

私『こんなこと話しながら、その隣で、“オヤジーーーっ”って叫んでるのに、一直線で私の横を走り去っていったから、私はその後を小走りで尾行してきたんだよ、わかったか、ボケ』

夫『おまえは、本当に性格が悪ーーーーーーーーーーーいっ。俺をばかにしやがってェーーーーーーーっ、いつもそうだーーーーーーあっ。』

私『なにおーーーー?!?!?!。バカなんだからしょうがないじゃないかぁーーーーっ。』

という感じで、いつものわしらの終わりのないくだらないコミュニケーションが始まったので、オヤジにとっ捕まった空港関係者は、フェイドアウトしていったものだった・・・・。



 で、今回・・・・。



 相変わらず物陰で、夫がゲートの前で、“遅れちゃったヤバーー”という張り詰めた顔して、私が出てくるのを待っている姿を観察していたが、もう、疲れたので、遠くからデカイ声で、犬を呼ぶかのように“オヤジーーーーっ”と呼んでみると、今回はさすがに一度で通じたようで、オヤジワンコは、こっちに向かって走ってきた。

 いやあ、3ヵ月ぶりに見るオヤジは、なんか小さくみえる?。縮んだ、オヤジ?!?!?!、と心の中で呟く私。

 私の不在中、“オヤジがそれでも落ち着いた”という噂があったので、それなりにその噂を信じそうになっていたが、現物を見て、落ち着いたというより、ただ、縮んだだけじゃねーーか?!?!?、と私のほうへ迫り来る夫を見て、問答。

 髪の毛は伸びて、真っ黒いコートに、真っ黒いハンチングを被った彼の姿は、まさしくグレン・グールドなのだが、なんちゃってグールドなので、ピアノは弾けないし、時間には遅れる・・・・・(汗)。

 で、ここで感動の再会のキスといきたいところだが、実際にブチューッとやったあと、オヤジが私に難癖をつけてくる。

オヤジ『ゼロっ、タバコ吸っただろ?』

私『だって、遅いんだもん』

オヤジ『禁煙したっていったじゃないかっ!!!!』

私『なんのこと?』

オヤジ『一月一日に禁煙するって言っただろっ!!!』

私『そんなこと、いつ言った?。わしゃ、アホじゃないから、そんな無理な設定もしないし、そんなこと自ら言い出すはずがない』

オヤジ『俺は聞いたんだーーーーーーーっ』

私『はあ?』

オヤジ『騙されたーーーーーーーーっ』

私『今年の春までにやめるといったが、1月1日とは言ってないし、だからこそ、こんなにタバコ買いこんできたんだーーー』とスーツケースに詰め込まれた私のタバコストックをご開帳っ(笑)。

オヤジ『うそつき、うそつき、うそつきィーーーーーーーっ』


 ということで、やはり3ヵ月ぶりだろうがなんだろうが、わしらには決してロマンティックな再会というものがありえないことを、実証するようなものだった。ま、多くの人は、そう思っていただろうけれど(笑)。

 3ヵ月ぶりに我が家に戻れば、一見、キレイだが、何も見つからないインディアナジョーンズのようになっているし、到着した瞬間にシャンパンを飲ませてくれ・・・、と頼んでおいたにも関わらず、わしが到着してから、慌ててシャンパンを冷蔵庫に放り込んでいるオヤジの後ろ姿をみてしまったし・・・・。

 ま、人生そういうもんだ・・・・。

 でも、本当にそういうもんなのか・・・・?!?!?!。

 で、本当にそれでいいのか・・・?!?!?!。


 いずれにせよ、この3ヵ月で“悟りをひらいた私”は、ともすれば喧嘩を売ってくるオヤジのだだっこ攻撃をかわすことをはじめ、この1月25日の帰国からは、以前のような“大喧嘩”には至っていない。
 


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