ゼロの視点
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2004年09月08日(水) 社用車

 午後3時過ぎに、空港へ友人T氏をRERにて迎えに行く。彼は、7月下旬から日本に戻っており、色々と今後の生活の準備を終えて、パリに戻ってくる。

 暑さが天敵というT氏は、悲しいかな、猛暑の日本へ戻り、そのおかげでヘロヘロになりながら準備をし、出発間際には、台風で風に飛ばされそうになり、地震で激しく揺られたそうだ。

 そんな彼を空港の到着ゲートで見つけた瞬間、彼の顔に激しい疲労の痕跡を発見し、“大丈夫?!?!?”という言葉をかけると同時に、ついいじわるにも笑ってしまった・・・。

 ま、そのぐらい彼は憔悴していたわけだ、彼は・・・・。


 さて、タクシーにすぐ乗っても、絶対渋滞になると思ったので、とりあえず到着ゲートまえのカフェに腰を落ち着ける。T氏の日本での日々の報告を聞きながら、コーヒーをすする。

 そして、何気なく自分の携帯をチェックすると、着信履歴。夫からだ。

 どうやら、本日は社用車を使って動いている様子。そんなわけで、うまくいったら、空港に迎えに来てくれるかな?!?!?!、という淡い期待を抱きつつ、夫に電話する。

 社用車を使って動き出したのはいいが、つい道を間違えてしまって用事を終えられなかった夫は、その憂さ晴らしに空港へ来てくれるという。ラッキーーーーーーーーーっ。

 なので、慎重に自分達の居場所を夫に伝える(←じゃないと、おっちょこちょいな夫は全然違う場所に行ってしまうので・・・)。夫曰く、30分弱で空港に到着すると言うが、夫の30分、ってことは、3時間か?!?!?!、とT氏と苦笑い。

 が、思ったより夫は早く空港に到着した。が、到着ゲートじゃなく、出発ゲート・・・。でも、たいしたものだ、我が夫にしたらっ!!。感謝、感謝。

 到着した瞬間、夫が私の携帯に電話してくる。どうやら、停めちゃいけないところに無理矢理クルマを停めたらしく、急いでやってこいと騒いでいる。が、彼の言っている場所がよくわからん。

 で、お互いに場所確認の話を携帯でやり取りしているうちに、夫が“あ、ゼロたちの姿が見えたっ!!”と言うので、前方を見ると夫がこちらに向かって歩いてきた。

 なんだ、クルマを降りているんだったら、早くいえよ・・・・、と思ったが、何しろ迎えに来てくれているので、ここは彼を誉め殺し。

 そんな私の誉め殺し作戦に、ますます気をよくして、哀れな難民を助けに来たスーパーマンのようになっている夫。そして彼が、無理矢理クルマを停めた場所に3人で急ぐ。

 おりしも、本日は晴天。タクシーに割り込むようにして停められた夫の社用車は、彼の会社のロゴマークを太陽が燦燦と照らしている。プジョー206。

 やれやれ、これで楽チンでパリへ戻れると思った瞬間、T氏が

『あっ、これ座席が二つしかないやんっ!!!』と叫ぶ。

 ?!?!?!??!、と思って社用車の中を覗くと、確かに座席は2人分だけ・・・・・(汗)。

 しかし、この会話は日本語でなされているわけで、わしらの母国語を理解しない夫は、まだスーパーマン気取り。“ボクのおかげなんだよーーーっ”と非常に自己満足で嬉しそうな顔をし続けている。

 そして、私が夫に、“申し訳ないんだけれど、さ・・・。ちょっとクルマの中みてみて・・・・。座席がどうも2人分しかないように、私には見えるんだけれど、あなたには4人分に見える?。”と、あくまでも慎重に伝えてみる。

 その瞬間、スーパーマンは、しまった・・・・・、という顔をして、激しくショックを受けている。で、私は私で、その顔をみた瞬間、もう、どうにもこうにも笑いが止まらなくなってしまった。もちろんT氏も大爆笑・・・・。もう、こうなったら、泣き笑い・・・・。

 本当に、この瞬間まで、夫は自分の社用車が2人用だということを完全に忘れていたようだった・・・・・。そして、この瞬間は、まさしくスーパーマンが、バスター・キートンになった瞬間ともいえる。

 激しく動揺する夫を前に、T氏がなんとかハッチバックの整理を終え、1人分プラスのスペースを確保。

 すでに憔悴していたT氏自身が、荷物と一緒に難民のようにしてクルマに乗り込みパリへ向かった。

 最近、警察がうるさくなっているので、シートベルトもしてない人間を乗せているのが恐怖な夫は、T氏に、“シートベルトをしているようなフリをしろっ!!”と命令。

 そして、T氏は、自分のショルダーバッグの肩紐を、まるでシートベルトをしているような感じで肩にかけていた・・・・・。




 結局、タクシーを拾ったほうがよかったのかどうか、私にはよくわからない日だった・・・・・。


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