ゼロの視点
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2004年08月13日(金) 岩登り

 夜は、暴風の音で何度か目が覚めた。どんなところでも熟睡できる私が目覚めるのだから、かなりの暴風だったはず。

 が、暴風なのに船は揺れない。不思議なことだ。そのくらい風が四方八方から同時に吹き付けるので、船が風で固定されて動かないからだ。それでも、入り江から沖にかけて、船を押し出すようにする波の動きは速い。

 船長Eは、こんなことも考えた上で、錨を2つつけておいたのだが、朝食後、ボーっとしていると、突然、わしらの船が流され始めた。

 ま、そのくらい強い力が働いていたのだろうが、大慌てでひとまず錨をあげて、船の位置を修正してから、錨2本を下ろし直す。ふーっ、一安心。

 錨が外れてからの、船の流され方は非常に早かった。こんなことが、不在時にあったら、どうするんだ?!?!?!、と思ったほど。


 昼食後は、せっかくLes Calanques de Sormiouにいるのだから、と、岩登りをすることにした。ゴムボートで岩場に行き、そこからとりあえず見晴らしのいいところまで全員で登る。

 岩場からEのヨットを見ると、今回はしっかりと停泊している。ゆえに心配事もなくなった今、さて、みんなで本格的に岩登りして、断崖のてっぺんまで進み、その向こう側の景色を楽しもうということになったところで、Eの彼女Mが、“やっぱりやめた”と発言。

 ということで、E家族は岩登りを中止して、わしら夫婦だけが続行することになった。Eは、適当に時間を見計らって、後で再びゴムボートで迎えにきてくれるとのこと。

 また、コルシカのレストニカ渓谷に引き続き、“バカの高登り”が始まった。しかし、ビキニで岩登りをするのは始めて。バランスでも崩して、ひっくり返ったら、全身ズル剥けになりそうなので、ちと不安。

 とはいえ、登り出すと止まらない。途中、同じようなことをしている男性二人組とすれ違いざまに、“もっと上へ行くと絶景だから”と薦められ、ひたすら登る。

 そして、突然開ける視界。おおっ、これが断崖の向こう側だったのかーーーーっ、と意味もなく2人で叫ぶ。なんてわしらは単純なのだろう・・・、と思うが、自己満足の達成感は、こうも人をアホにさせるから笑えるのだ。

 足元は非常に乾燥しており、クダリは非常に滑りやすい。あらゆる小石などが、ザラザラと下へ落ちていく。安定してそうな石だと思って、ふと足を下ろすと、そのままグラグラと落ちそうになること数度あり。

 それでも、全身ズル剥けになることなく、ほぼ下りきったところでEのゴムボートを発見。その瞬間、妙に気が緩んだ私は、最後の難関を下ろうとして、巨大な岩場に、カエルが踏み潰されたようなスタイルで張り付いていたのだが、右手を次の岩場に指をかけた時、その岩の一部がはがれたのだ・・・。

 ひえーーーーっ、と焦れば焦るだけ、ますますカエルが潰れたような状態のまま身動きが取れなくなる私。膝などを使って体制を整えたいところだったが、なんせビキニゆえ、ヘタに足などを使うと、私が当初から不安だった全身ズル抜けになる恐れがあるゆえ、それはやりたくない。

 なので、とりあえず“助けてくれーーーっ”と叫んでみた。で、叫んだら気が楽になったのか、この体勢から抜け出すコツを発見して、どうにかクリアーできた(笑)。めでたし、めでたし。

 いやあ、それにしても、みっともなかった・・・・。やっぱり、ビキニでは岩登りはやるまい、と心に誓ったゼロでした。


 
 ゴムボートに無事乗り込み、そのままみんなでビーチへ。

 Les Calanques de Sormiouは、夏の間はここへの観光客のアクセスは大幅に制限されており、プライベートビーチのように人が少ない。唯一のアクセス手段は、船ぐらいなのだろうか・・・。

 ビーチへ到着すると、暇そうな現地の警官がいたので、夫がさっそく話し掛ける。色々な話を聞いているうちに、ビックリする情報が耳に飛び込んできた。

 なんと、さっき私たちがやっていた“岩登り”は、禁止されていたのだったっ!!。詳細を言えば、全面禁止ではない。午前11時まではOKなんだそうだ。が、それ以外の時間帯に岩登りをしているところを、警官に発見されると300ユーロ近くの罰金を支払わなくてはいけないとのこと。

 再び、ひえーーーっ。

 山火事を防ぐため、という理由らしいが、それにしても捕まらなくてよかった。1人300ユーロといったら、わしら夫婦2人では600ユーロの出費。痛いぞ、これは・・・。(実際に酷い山火事があったらしいが・・・)。


 ビーチへE&Mの娘たちを遊ばせておいて、大人4人でカフェでビール。子供がいないからこそできる話で盛り上がる。こういう話になると、突然会話に積極的に参加しだすゼロ、とE&Mに激しく突っ込まれた。

 ま、確かに、そうなんだが・・・・。
 


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