ゼロの視点
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2004年08月08日(日) 船酔い

 私はどうやら快適に熟睡したようだった。起床すると、すでに他のメンバーは皆、起きていた。明るくみんなに“Bonjour!”と挨拶すると、みなの反応が悪い。

 どうしたのか?、と思えば、私を除く全員がみんな船酔いしていたのだ。夫は比較的軽かったが、それでも一瞬吐きそうになったと言っている。

 確かに、昨晩、ヨットはかなり揺れていた。が、そんな状態でも平気で熟睡をして、元気な私をみて、みなが逆に驚いている。

 そういえば、中学生の頃、台風の影響で結構になるか否かの寸前で結局出向したフェリー“宮崎〜川崎”間に乗ったことがあるのだが、当然乗客のほとんどは“ゲロ袋”を肌身は離さずうずくまったままだったのを、昨日のように思い出す。

 一方、私は全然平気だったので、誰もいないように思われた船内を、ユラユラ揺れながら歩きまわって楽しんでいた。なにせ、予想もつかなく激しく揺れる船内だったので、そこでバランスをとって歩くというのが、一種のゲームのように感じて、楽しかったのだ。


 
 船長のEも、かなり具合悪そうだ・・・・。子供達は完全アウト。E&Mらはもうクルージングを始めて3週間目だというのに・・・。

 午前10時過ぎには出発する予定だったが、こんな具合だったため、出発を遅らせる。気分転換にと、みんなが次々にヨットから海に飛び込みだす。私もそれにつられて、飛び込みと、あーら気持ちの良いこと・・・・。

 船酔いしていた人らも、こうして海で泳いでいるうちにすっかり元気になっていったようだった。


 さて、本日は終日航海予定。コルシカから一気にフランス本土近くまで進む予定。

 停泊中は波にもまれて苦労したのに対し、一端航海しはじめると風がピタっと止んでしまい、帆を広げながらの快適クルージングが難しくなってしまうジレンマにずうっと悩まされているE。

 ゆえに、結局モーターを使って進まざるを得ず、Eは相当イライラしていたのだと思う。ま、彼は大人なので、そういった葛藤をいちいち表には出さないのだが。

 が、幸いなことに夕方頃からだんだんと適度な風が出てきて、モーターを止めて、本来のクルージングができるようになってきた。

 クルージング初心者の私は、別にモーターでもいいじゃん・・・、などと思っていたのだが、実際にエンジン音もなく、風をうまく利用して進んで行く楽しみというものを少しでも感じ始めると、だんだんとEのいうヨットの楽しみというのが理解できるような気がしてきた。

 以前にも書いたが、遊覧船とか、フェリーぐらいしか乗ったことのなかった私なので、船=モーターがあって当然、って感じだったのだが(笑)。


 今晩は、どこにも停泊する予定なく進むので、大人4人が交代で見張り。幸いにもオート運転機能もついているので、船長Eも適度に睡眠がとれる。また、問題が生じない限りは、オートにしておいて全然OK。

 真夜中に、甲板に出て潮風にもまれながら、パスティス飲んで星空を眺める。遠くに見える船の光の色で、その船の進行方向をチェック。衝突する可能性がないのを確認すると、再びパスティス飲んで、星空を眺める。

 午前2時過ぎになってくると、見渡す限り船の光もない。少しかけ始めた満月の光が、海面に反射しているだけ。本当に、このヨットだけが世の中に存在しているような、奇妙な錯覚に何度もとらわれる。

 船長Eは、国際ヨット競技大会で数年前に第4位になったほどの腕前。なので、甲板でうとうとしながらでも、何か異変を感じたらふと対応できるらしいから頼もしい。ただし、モーターをつけていると、この勘はまったく働かなくなってしまうという。

 自然のささいな音を聞き分けることによって、色々な危険の兆候を察するらしいのだが、それをモーター音が全部かき消してしまうらしい。

 午前3時半も過ぎた頃、さすがに眠くなってきたので、Eと夫を甲板に残し、私は就寝。あと2時間もすれば、今度はEの彼女のMが彼らに合流して、今度は夫が就寝という予定だ。


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