ゼロの視点
DiaryINDEXpastwill


2004年08月03日(火) トレッキング

 本日は、恒例のダラダラ・バカンス・モードから一転して、トレッキングに挑戦するために、異常な早起き。

 先日まで滞在していた港町のCalviは、大勢の水着姿の観光客でにぎわっていたのに対して、ここCorteは山間部、多くの登山者が集うことでも有名だったりする。

 確かに周りを見渡すと、皆、頑丈なトレッキングシューズを履いている観光客ばかり。そして、さんざんレストニカ渓谷がいいから是非行ってみろ、とあらゆる人に薦められたあげく、とうとうわしらはそれに挑戦することに決めたのだった。

 目指すは、1700m地点にある、Meloという名の湖。

 朝食をすばやく済ませ、クルマでトレッキング・スタート地点まで出ている無料送迎バス地点まで出かける。コルシカで無料の送迎バス?!?!?!、と疑心暗鬼で行ってみたものの、本当に無料だったので、妙に感動。

 というのも、ここから、トレッキング・スタート地点までに延びる細い山道は、断崖にちょこっと作られたようなモノなのであり、ガードレールもなにもなし。おまけに路肩も崩れかけてたりするので、マイカー族がバカンス時期にここを走り回ると、道路がどんどん痛んでいく可能性が高い。ゆえに、Corteの町自体が、なるべくこのバスを利用するように、観光客に奨励しているのだった。

 バス停に到着すると、私たち以外の乗客のイデタチは、完全登山スタイル。それに反するように、私たちの足元は、パリで5ユーロで購入した運動靴。リュックも背負わず、私の肩には、日本で昔購入したユニ〇ロの小さなショルダーバックのみ。夫も、とある会社の景品で貰った小さなリュック。

 近所に買い物に来たというイデタチの私たちを発見した、バスの運転手が心配して私たちに声をかけてくる。この運転手、名前はジェームスと言って、かなり強烈なキャラクターを誇るオヤジ。

 意識もせずに彼の話すフランス語の音だけに耳を傾けていると、まるでその響きはイタリア語のよう。そして、もちろんジェームスはコルシカ語も話す。コルシカ語のほうは、本当に私にはチンプンカンプン(笑)。

 バス停から、トレッキング・スタート地点までのバス行程は、およそ20分ほど。コーナー毎に、ジェームスが豪快にクラクションを鳴らしながら、ゆっくりと進んで行く。
 
 途中、2000年にあったという大規模な山火事の傷跡が未だに残っていたが、それでもレストニカ渓谷の雄大な姿に、しばし感動。

 ようやく、スタート地点。バスから降りた乗客は、もくもくと山道に進んで行く。そして、私たちもそれに従う。本当に、こんな貧相な靴で登れる場所なのかしらないが、とりあえず挑戦。

 なだらかな上り坂がしばらく続いた後、登山道の勾配はどんどんと急になってくる。先ほどまで、かなりの勢いで歩き続けてきた人たちのペースが、知らず知らずのうちにスローになってくるのがおもしろい。

 “もうやめようよっ”“こんなにキツイと思わなかった”等という弱音が、あちこちから聞こえてくる。

 逆に、突然昔の登山の喜びが蘇ってきた私は、どんどんいいペースになってくる。スモーカーなのに、息切れしない私。瑞牆山を彷彿させる岩山は、私をハイにさせるのだ。

 次は、どの岩に足をかけて進もうか?、などとゲーム感覚で没頭して登り続けているうちに、夫よりかなり早く進んでいたようだった。

 またこれを機に、普段は強烈な怠け者であった私を見て、今まで決して私の昔の趣味が登山だったことを信じようとしなかった夫が、ようやく理解を示してきた。してやったりっ!!。

 くさり場などもあり、本当に疲れを感じることなく思う存分楽しめた。そして、登りきりしばし歩くと、突然眼前に出現する大きな湖。これがMelo湖だっ!!!!。

 さっきまで弱音を吐いていた人も、これを見て疲れが吹き飛んだかのように、皆、穏やかで幸せそうな顔を湖の前でしている。本当に美しい湖。

 水温はどのくらいだろう?、と手を湖に突っ込んでみると、これが非常に冷たい。それなのに、ドイツから来ていると思われるボーイスカウトの一団は、自分達の勇敢さを誇るように、次々に湖に飛び込んでいく。

 私たちは、さらに先に進み、ヒトケのない岩場をまた登ったところで休憩。ここが非常にナイススポットで、湖と山々の景観がすべて拝めるのだ。岩の上に大の字になって。しばし昼寝。

 日本での登山というのは、いつも天候に悩まされていたが、コルシカというのはほとんど毎日が晴れ。この素晴らしい環境の中、数年ぶりにトレッキングが出来たことを幸せに思った。

 Melo湖のほとりに何時間ほどいたのだろうか?。わからない。が、煉獄を忘れて、至福の時を過ごす。

 下山は別ルートで。軽登山といえど、登りより下山のほうが事故が多いのは、よく知られたこと。まして、岩山系となると、下山時の身体バランスが非常に重要になってくる。

 登りは、ただガムシャラに進めばよかったが、疲労も重なり、バランスを保ち続けられず、立ち往生している観光客の多いこと・・・・。躊躇して進めば進むほど、バランスを崩すというのに。

 そんな中、5ユーロの運動靴のわしらは、軽快に下っていく。とにかくリズムがついているので、ある意味止まれないのだが(笑)。

 それでも、所々で止まっては、後ろを振り返り、さっきまで居た光景を刻み込んでみる。自然の美しさを前にして、自己達成感に満たされる。

 再びバス停に戻ると、ジェームスが待っていた。思い出に、彼と一緒に記念撮影。そしてバスに乗り、わしらのクルマの待つパーキングまで。

 パーキングでクルマに乗り込もうとすると、2人組の若い男性が近寄ってくる。Corteの町まで乗せていってくれないか?、ということだった。私は一瞬戸惑ったが、昔それこそ、ヒッチハイクでヨーロッパ中を旅し、今でもストの際には、ヒッチハイクで会社に行ってしまう夫としては、放って置けなかったらしく、彼らをクルマに乗せてあげることになった。

 彼らは若いだけあって、本当に貧乏旅行を楽しんでいる様子だった。かなりの場所を徒歩で旅してきたらしい。すげっ。

 町に到着し、彼らと別れ、食糧探し。やっとみつけたピザ屋でピザを頬張っていると、突然疲れが襲ってきた。二人とも疲れで無言。ただひたすら食べつ続け、どちらが言い出すまでもなく、ホテルに戻った。

 そして、ひたすら熟睡・・・・・・・・。

 それにしても、1700m地点で無防備に昼寝したのがいけなかったのか、物凄い日焼け&太陽アレルギー発症。かゆくてたまらん・・・・・・(涙)。


Zero |BBSHomePage

My追加