ゼロの視点
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2004年05月13日(木) 空港にて

 午前10時前に起床。午後5時過ぎに家を出る予定にあわせ、再び準備およびアパルトマンの掃除などをせっせとやる。

 まだ夫に対して激しく頭にきているので、掃除するペースが非常に早い。怒りに任せて掃除すると、こんなに綺麗になるのか?!?!、と妙に関心。

 実は、私の不在中、色々な用事があり、夫が私の代わりにやらなくてはいけないことがたくさんある。それプラス、私の里帰りの主な理由が決して明るい話題のものではなく(実母の痴呆疑惑)、キッチンのシンクも壊れたままだし、夫も夫なりにかなり不安だったのだと思う。

 そこまでは理解できる。が、今回ばかりは夫が私より先にパニクる理由はない。ここが理解できんのだ、わしはっ!!。私はパニクる以前に一歩一歩着実に進んでいるのに、その足を引っ張るような彼の挙動・言動・・・・。



幼児がえりか、おぬし?。

何度考えても、掃除しまくっても、腹がたつ。

で、同時に情けない・・・・。

何度も出るため息。

しかし、こじれたまま出発するのも、嫌だ・・・・。

さてどうするか?。


 予約しておいたタクシーが自宅前に来る時間寸前に、夫から電話。この口調だと、自分が悪いことはよくわかっているようだが、自分が悪いとははっきり口にだせない様子。そこで、私が何か話せば、また調子にのって、私も悪いと言い出しそうな気がしたので、こんな出口のないアホらしい夫のゲームに乗る気もない。

 なので、もし本当に何か言いたいことがあるなら、空港へ来い、と提言してみる。チェックインの為に早く行くだけで、私も空港では時間をもてあます。仕事の終わりを待っても、充分に夫は空港に来られるはず・・・。

 夫もそれを承諾し、午後6時半に全○空のカウンター前で待ち合わせをした。

 おりしも本日はストの日。幸いなことにタクシーで空港に向かった私だが、想像以上の渋滞。動かないタクシーの中で、暇つぶしにRERの路線マップを見てみると、夫の会社から空港までかなりある。果たして、ヤロウは本当に来られるか?!?!?!。サスペンスっ。

 私の飛行機は午後8時出発なのに対して、すでに午後6時すぎにはチェックインを終わらせた私は、ボーッと日本人観光客をウオッチングしながら、夫を待つ。

 パリはスリが多いと脅かされてきているのか、多くの日本人が非常に警戒しながら、仲間同士で荷物の入れ替えなどをしていて、非常に興味深い。ウエストポーチの中に、またポーチ。それはまるで箱根不思議箱のようだっ。

 こんな様子を見ているとあっという間に時間が経つ。手元の時計を見るとすでに午後6時45分。搭乗ゲートには午後7時10分には入るように言われているが、夫は果たして来るのか?。

 午後7時。私を楽しませてくれた日本人観光客も全員チェックインを終えてしまったようで、もうそこには誰もいなくなった。

 現在、夫の携帯はぶっ壊れている。なのでいざという時の連絡用に私は自分の携帯を持参。が、この携帯は週末かけ放題の契約をしているから、夫に空港で渡しておきたい。じゃないと、無駄払いになってしまうから。

 しかし、このまま夫が来られなかった場合を考えなくてはいけない時間になってきた・・・。日本まで持っていって携帯をフランスに送る・・・・?、いやいや、それじゃ、高いし、時間もかかる。じゃ、空港から送る・・・・・?、でも、郵便局はもう閉まっている。

 困り果てて、全○空の責任者に、代金は払うので、これをパリの自宅に郵送してくれないか?、と頼んでみた。責任者はビックリした顔で、戸惑っていた。搭乗ゲートにあと少しで行かないといけないゆえ・・・、とこちらの理由を言うと、責任者は“あ、実はあれは出発15分前までに登場ゲートにいればいいんですよ、だからまだまだ時間はあるので安心してください”とのお答え。

 なーんだ、これからはもっとギリギリに空港に到着しようっ、と心に誓う私(笑)。そして、ホッとしたところに、焦り顔の夫の姿を遠くに発見。午後7時15分のことだった。

 私をみつけるや否や、堰を切ったように“どうしてこんなに遅くなったか?”という理由を話しまくる夫。

 ストでRERの本数が少ない。焦った夫は北駅での乗り換えで、全力疾走をして、足がもつれてひっくり返り、いつもファスナーが閉まってない彼のかばんからは、あらゆる書類が四方八方に飛び出した、とのこと。

 打ち所が悪く、ヨロヨロと起き上がろうとしているところに、駅構内を巡回している若い警官らが“大丈夫ですか?。”と声をかける。みっともない姿をしている夫に対して、妙に憐れまれたことに返って頭に来て、無理して起き上がり、そのまま走り去る夫・・・・。

 このままじゃ遅れると思い、駅構内の公衆電話を探すが、なかなか見つからない。やっと見つけたと思い、自宅の電話回線を使う方法で電話をかけようとする夫。これには暗証番号が必要なのだが、焦りすぎて何度も暗証番号を間違えてしまい、その回線はブロックされてしまい、電話もできず。

 ますますパニクる夫は、絶望的になってホームに走り下りていき、空港行きという行き先だけを見てRERに飛び乗る・・・・・、が、これが実は各駅停車だったことが後で発覚。ここで夫が逆上の雄たけびをあげていただろうことは容易く想像できる(笑)。

 そして、ターミナル1に無事到着するには、まだ難関があったそうだ。空港内のバスがなかなかこなく、もう夫は気狂いになる寸前だったらしい。

 こうして、悲惨で笑える彼の物語を充分に話しつくした後、彼はふと一息いれて、“ぼくが悪かった”“あれは八つ当たりだったと思う”と自分の非をアッサリと、とはいえ喉から搾り出すような声で認めてきた。あまりにも素直に認めてきたので、内心ギョッとしたが、それは顔には出さない私。

 私としても、この一言を聞くか聞けないかで、今後の日本滞在が大きく変わるので、一安心。

 そんなわけで、出発30分前に無事仲直りしたゼロ夫婦でした・・・・(汗)。


 私も単純な人間なので、無事仲直りして、飛行機に乗り込んだあとは、すっかり夫のことも忘れ飲んで、食って、映画見て、おまけに熟睡までしてしまった(笑)。
 


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