ゼロの視点
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2004年04月15日(木) 浮気のススメ

 4月は、契約しているケーブルテレビの全チャンネルが無料で鑑賞できることを知り、休日で家にいる夫と一緒に、ぼんやりとリモコン片手にザッピング。

映画専門チャンネルのひとつで、ちょうど始まったばかりの映画を発見したので、そのまま観つづける事にした。それは、Claude Chabrol 監督作品で« la femme infidèle / 1969» だった。

タイトルからして、そそられる・・・、浮気な妻、乃至は、不誠実な妻、ってのが直訳なのだが(笑)。大掛かりな撮影もなく、淡々と進む心理劇。裏切られる不器用で真摯な夫をMichel Bouquetが実にうまく演じる。

自分の妻が浮気していることに気付き、とはいえ妻にはそんな思いは一切見せず、水面下で探偵に浮気調査を頼み、衝撃の調査結果を得て動揺する夫。でも、家ではそんな動揺も“愛する妻”には見せず・・・・。そして、妻の浮気相手の家を唐突に訪れる夫。

夫が、あくまでもリベラルな夫婦を装い、浮気相手を油断させ、色々と妻との情事の話を浮気相手の男に喋らせるくだりは、非常に面白い。が、浮気相手がホッとして、あるいはいい気になって、“妻”と浮気している寝室を夫に見せ、そこで3年目の結婚記念日に、夫が妻に贈ったはずのプレゼントを発見して事態は急変する。

自分の妻へのプレゼントが、浮気相手に渡されていたショックで、衝撃を受けた夫は、それでも怒りを隠し・・・・・・。そしてその数秒後、ふと目に付いた置物で浮気相手を殴り殺す夫。

後は、たんたんと完全犯罪へむけて、妻の浮気相手の死体を処理するシーンが続く。そう、あくまでも淡々と・・・・・。死体を無事、池の底に沈めるまでの夫の心理劇は見ものだ。

そして、数日後、突然姿をくらましてしまった浮気相手の元妻が異変に気付き、警察に届を出す。浮気相手のアドレス帖には、妻の電話番号があり、必然的に彼女の家、つまりは夫のところに警察がやってくる。刑事の質問に率直に答えられない妻、そして、何も知らないふりをする夫。たいして質問もせずに、執拗に何度もやってくる刑事。

そんな状況の中、妻が夫の書斎で、かつて夫が探偵からもらった妻の浮気相手の写真を発見する。そこで、妻は事態をすべて把握する。と同時に、夫への愛を再発見。皮肉にも、妻は夫を深く愛し始めるが、時すでに遅し・・・・。お互いに愛を確認しあい、夫は刑事に逮捕されて、ジ・エンド。

地位もあり、金持ちだが、ちょっと堅苦しくもある夫との生活に、アバンチュールを求める妻。子供のためにパリ郊外の豪邸に住んでみるが、昔の華やかな生活も忘れがたく、フラフラとパリへ出て浮気相手とひと時を楽しむ。決まりきった生活の中で、夫からの愛も忘れていたゆえの行動だったのに、その夫が嫉妬に狂い浮気相手を殺したことを知った瞬間、妙に自信と夫への愛を再発見する妻・・・・。

いやあ、久々に面白い映画だった。夫と2人で見入ってしまった(笑)。決して始終笑いっぱなしになる映画ではなかったが、一度だけ2人で大爆笑してしまったシーンがあった。それは、夫が3回目の結婚記念日に妻にあげたプレゼントを、浮気相手の寝室で発見するところ・・・・。

なぜなら、私たちは昨日3回目の結婚記念日を祝ったばかりだからだ。いつか、私たちも結婚記念日のプレゼントをどっちかの浮気相手の寝室で発見することがあるのだろうか。うーーーん、なかなか面白いシチュエーションになることだろう。

が、しかし、よく考えれば、私たちはプレゼント交換などしてないし、したこともない。ただ、レストランへ行って、食って、飲んで、それでオシマイ。何を発見すればよいのだろう・・・・、と2人で困ってしまった。

さて、この映画の後、すぐに別の映画がはじまった。それはブリジッド・バルドー主演の1955年作品で « La lumière d’en face »、恐らく邦題では『わたしは夜を憎む』というのだと思うが、これも妻が他の男にだんだんと惹かれていくことに対して、嫉妬に狂った夫が最後に銃をぶっ放し・・・・、という内容だった。

この映画もついつい観てしまった私たち・・・・。思わず夫に“妻が浮気して、夫が苦悩するってのは、フランスの伝統なの ?”と問わずにはいられなくなった。で、“もし、そうなら、私もしなくちゃねェっ”と意味深に笑うゼロでした。


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