ゼロの視点
DiaryINDEXpastwill


2004年02月07日(土) 神父、登場!!

 昨晩は、久々の仮装パーティーだった。今回、夫は念願かなって、本物の神父用のシャツをゲット。私はそれに対して、いちおう聖職者を惑わす“悪魔”な格好で出席。

 2000年末にあった、パリ郊外の城を借り切っての盛大な仮装パーティーの時には、わざわざヴェルサイユ宮殿内の衣装部に勤務する友人に頼んで、映画や舞台などで実際に使用される衣装を着込んで出陣。夫はルイ14世もどき、私は妙な伯爵夫人だった。

 この時は、さんざん楽しんで朝の6時頃自宅に到着した私たち。さっさと家に入って、くそ重い衣装を脱ぎ捨てようと鍵を開けようとするが、開かないっ!!。何度も、何度もトライするが、アウト・・・・・。パーティーで楽しんでいる間に泥棒未遂にあったようで、鍵が変形してしまっていて、ゴージャスな格好のまま、締め出されてしまったわしらは、そのいでたちのまま、近所の警察へ出向いた。

 警官らは、わしらの格好をみて、爆笑してしまって、全然私たちの苦境を聞いてくれない・・・・・(涙)。なんとか、事情を指定の用紙に書き込もうとする警官の手が笑いで震えている。早朝出勤してきた警官らは、その衝撃で目が覚めたと発言。

 特に、夫は当時のバッハのようなヅラをかぶってたので、私でも笑えた。警官らは、“よう、モンテスキューっ!!”とか、トイレの場所をたずねた夫に対して、“陛下、ギロチンは階段の左脇です”とか、完全に笑いのネタにされてしまう夫。

 ま、こんなこともあったが、今回は小規模なパーティーゆえ、もし帰宅して家へ入れなくとも、神父の格好だったら、警察側の対応もおのずと違ってくることだろうと安心して出かけていった。

 そして、家にも無事に戻れ、休息をとり、土曜日の夕方から友人画家Cの展覧会オープニングパーティーへ。ところで、Cは、強烈なキリスト教信者。なぜ、強烈か?、といえば、彼にはマリア様が見えるレベルだから。彼曰く、マリア様ってのは、どこにでも現れてくるらしい。

 何度もこんな話を聞いている私だが、どうしても信じられない。バリバリのカトリックとして人に説教して止まない姑でも、彼の度を越えた信仰には、疑いの目を向けるほど。

 そんな彼のパーティーに、私は夫に、昨日使用した神父の格好で出かけてみることを提案。おだてると、アッというまに木に登ってしまう夫は、すぐに喜んで神父の格好に変身。こうして、二人で出かけていった。

 笑えることに、夫は神父の格好が非常によく似合う。まるでドイツ占領下のフランスの田舎でバゲット脇のしたにはさみながら、レジスタンスをかくまっていたような神父に変身してしまう。おまけに、どこかで拾ってきたベレー帽があったので、それを夫のアタマの上にのせてみたのだが、これが非常にはまる。時には、私の目には“大久保清”にさえ見えるから、不思議だ。

 さて、会場についてコートを密かに脱ぎ、Cのところに歩みよる夫。その瞬間、Cの目が点になったと同時に、彼はもんどりうって笑い出した。

C「フランスはどんどん聖職者の数が減ってきている。だから、インチキでもなんでも、こうやって聖職者の格好して、カトリックの宣伝やってくれぇっ!!」と夫を激励していた。

 Cは、それでも夫の古くからの友人ゆえ、インチキだとすぐわかったものの、他の人の対応はまったく違っていた。驚いたことに、大多数の人間が、夫のことを本当の神父だと信じていたのだっ!!。画廊のオーナーは夫に向かい、“最近教会へ行く時間がなかったから、ここで懺悔してもいいですか?。”と真顔で問いはじめる始末。この願いを聞いた瞬間、飲んでいたワインが逆流しそうになった私・・・・。

 幼少期から青年期にかけて、神父に教育を受けてきた夫だけあり、ラテン語で祈りをささげることから、聖歌を歌うこと、懺悔の仕方など、全部完璧にできてしまうから、最悪だ。

 そんなわけで、画廊オーナーはまだ夫のことを神父だと思って、懺悔を続けている。ちょっと離れたところに陣取る私の耳は当然ダンボ状態。

 オーナーには、現在3人の恋人がいるそうだ。これに対して、個人的には対して罪悪感はないが、神父様、どうしたらいいんでしょう?、ということを散々話していた。そして、夫は、これに対して、“なんじが、これに対して罪悪感を感じないのであれば、どんどん続けなさい”と煽る。

 最後には、夫は、インチキ神父であることを暴露。一同で大爆笑になった。その場に同じくいた、友人のMは、最近熱をあげていた彼に振られて鬱になっていたが、この件で思いもかけず爆笑ができたとのことで、すっかり回復したと、夫に感謝していた。

 こんな夫でも、たまには人の役にたつことがあるのだ・・・・・・、と妙にビックリしたゼロでした。

 ちなみみ、あとで、この話を姑にすると、かんかんになって怒り狂い、“宗教を冒涜するなーーーーっ”と電話口で、怒られていた夫だった。
 


Zero |BBSHomePage

My追加