ゼロの視点
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2004年01月18日(日) 復讐

 友人の家でアペリティフを終えた後、なんとなく映画館に立ち寄る。時計を見ると、私達の都合よくはじまる映画がない。それでも、あと40分ほどではじまる映画があったので、チケットを購入し、とりあえず近所のアイリッシュ・パブにてビールでも飲むことにした。

 久しぶりの生ギネス。咽が唸る。


 パブはたくさんの人でカウンターに注文しにいくのもやっと。そんな人ごみの中に、見知った顔を発見。昨年の11月13日の日記でタイトルが“母と息子”というのに書いた、息子Bだ。

 Bは、その美貌にも関わらず、いつもヤロウ仲間とつるんでバーにいるのが好きなことは知っていたが、今回も同じで、友人というミュージシャン仲間と飲んでいる最中だった。

 Bは、午後に映画『ザ・ラスト・サムライ』と観たあと、このパブに来たらしい。それを知ると、夫がBとこの映画について熱心に語ってあい始めた。

 時に、私の前には、なみなみと注がれた美味しそうなギネスのグラスが二人分。そう・・・、それは私と夫の分だ。脇にいる夫を見ると、本当に熱心に話している。

 復讐のチャンスっ!!。

 というころで、彼が話し込んでいる間に、二人分のギネスを全部飲み干し、昨日の“干物の恨み”を果たして、すっかり気持ちよくなったゼロでした。


 その後、二人で映画『ロスト・イン・トランスレーション』と観る。すべての状況において、ロスト、つまり途方に暮れた50代半ばのアメリカ人男優と、同じように、精神的な居場所が定まらない若い女性が、東京のホテルにてだんだんと仲良くなっていくというストーリーなのだが・・・・。

 きっとこの映画は、コメディなのだ・・・、と思っていたのが間違いであって、かなり見方によればハードなものだった。もちろん、笑えるシーンもたくさんあったが。

 絶対的な孤独、コミュニケーションの難しさ(これは日本人とだと難しいというのではなく、たとえ家族でも、自分自身でも)等が、描かれている。主人公は、日本語がまったくわからないゆえ、仕事上でも日本人に色々と日本語で指図されても、そこで相槌を調子よく打っているだけ。

 でも、彼はアメリカに残っている妻との会話でも、ほとんど相槌をうっているだけ。

 激しく彼が怒り狂うシーンがあるわけでもなく、その逆に、彼が歓喜するシーンがあるわけでもない。そう、淡々としているのだ。ま、そのくらいすべてにおいて諦めちゃっている、50代半ばの男性の話。

 この映画、見る人が見たら(特に主人公の年代の男性)、シャレにならないくらい、鬱を悪化させる可能性もなきにあらず、と思った。

 


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