ゼロの視点
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2003年12月18日(木) 母、帰国

 母の飛行機は午後6時30分。なのに、すっかりおしゃれすることに興味を取り戻し出してきているわが母は、帰る前に、もう2本くらいパンツが欲しいというので、急いで買い物。

 昼間でに家に戻り、夫と3人で最後のランチ。鴨料理を作ってみたら、母は喜んでいた。日本に戻ったら、同じようなものを作りたいので、あとで作り方を教えてくれとまで言ってくる。いい傾向だ。

 しかし、のんびりとはしていられない。食後のコーヒーのあと、最後の詰めで再び荷造り。そんなことをしているうちにあっという間に午後3時半。午後4時に家を出て、タクシーをつかまえて3人で空港へ。

 母の飛行機は全○空。カウンターにならんで、搭乗手続きの番を待っていると、わしら夫婦のところに、全○空のバッチをつけたフランス人男性が近寄ってきて、話し掛けてくる。こんなことははじめてだ。話をきいていると、私たちが誰をここに送り届にきたかまで知っている。一瞬焦る。

 なんで、なんで?!?!?!。

 すると、こうだった・・・・。12月8日の月曜日に母が飛行機を降りて、入国手続きをしたりするのに付き添ってくれた全○空の係員の日本人女性がいるのだが、その人がその時の日記にも書いたように、母の変調に気付いてそれをチェックしておいてくれ、日本に戻る際も、母の付き添いをするようにすでに手続きをしておいてくれた、ということだった。そして、あらかじめ席まで用意しておいてくれるという、サービス。本当にありがたいことだ。

 日本に到着した際も、飛行機を降りて到着ゲートに降りるまで、また別な人が丁重に母に付き添ってくれるという。

 で、ついつい色々とこの全○空のバッチをつけたフランス人男性に質問するわが夫婦だったが、母だけが特別なのではなく、年齢を関係なく、日本からやってきて飛行機の中で、精神変調を起こしたり、または、乗っている間は平気でも、降りた途端、緊張して自分がどこにいるのか数日間認識できない人などが、意外にいる・・・・・、ということを教えてくれた。

 そういった場合には、搭乗員などがそれをチェックして、無事に本国へ戻れるよう、帰国の便でのサービスをしているそうなのだ。こんなことをやってくれるとは、知らなかった私。いずれにせよ、母に日本の飛行機を選んでおいて本当によかったと思った瞬間でもあった。

 わが母のように、付き添いしてもらう高齢女性が他に3人、そしてフランス人の男の子一人がいた。あらかじめ指定された場所に、母を連れて行くと、まるでツアーのように、付き添い人を先頭に、母を含む5人の旅人が搭乗ゲートに向かって進みだした。

 さあ、今回は、ここで母とはお別れ。たった10泊11日という、短い母のパリの滞在だったが、内容は濃かった。奇跡的に母親が回復して、以前よりも元気になっていったことが、何よりの救い。

 そんな母が付き添い人に導かれるように、シャルル・ド・ゴール空港の動く歩道に乗り、だんだんと彼女の背中が小さくなっていくのを見ているうちに、ムショウに哀しくなってきた。

 そういえば、生まれてはじめてかもしれない・・・・、母を見送る立場になったのは・・・・・。こんなことにやっと気がついたゼロでした。


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