ゼロの視点
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2003年12月17日(水) 姑と母 パート2

 本日は、日本に持って帰る土産などの買出し。プラス、母のイメチェン用の洋服の買出しもする。

 昔、バリバリと会社で母が働いていた頃までは、母はおしゃれだった。自分で流行を取り入れた服を作って着てさえいたが、今は、あまり服装に注意をしなくなってきている。これが娘にとっては腹が立つ。また、うつ的傾向の最たるもの。

 そんなわけで、今回の旅行にはほとんど服を持ってこなくていい、とあらかじめ母に伝えておいた。

 日本だと、この年齢だと、こういう格好だの、誰が決めたわけでもないのに、知らないうちにスタイルなどが決まってきてしまう。日本に戻るたびに、この不思議な現象がたまらなくいやで、またその中にすっぽり入り込んでいる自分の母というのにイライラしていた私だった。

 それとはうってかわって、わが姑様、すんごいです・・・、おしゃれ命。そこまでやらんでも・・・・・、というほど、おしゃれには気を使う人種。私はこれは本当にいいことだと思っている。母にはここまでやらせようとは思わないが、とはいえ、考えてもいなかったスタイルなどを実際に何度も試着室でトライさせているうちに、彼女が昔のようにもっとおしゃれに敏感になってくれるといいな・・・、と思っていた。

 が、とうとうその時がきたようだ。日本にはなかなか売っていないようなパンツだのカーディガンだのを色々と、私が最初にコーディネートしてきたのだが、それに触発されるように、自分でこういうのがいいとか、今までおしゃれすることを怠ってきたことに、覚醒してくれたのだ。これは本当に朗報だ。

 買ってきた洋服を、我が家で再び着てみては、鏡の前に行き、『これきて、どっか行きたいわーーーっ!!』と言い出し始めたのだ、わが母が。長いうつ状態からの解放が、本当にはじまってきたようだ。

 やる気のない人に、『どっかでかけたほうがいいよ』『おしゃれしたほうがいいよ』などと言っても逆効果。結局、当事者自身がその気になるまで、周囲のものは、じっと待たなければならない(サポートしつつ)のが常。待った甲斐があった・・・・。

 そんな勢いの中、この夜は、姑を我が家に招いて、4人でディナー。母にとっては、今回のパリ旅行・最後の晩餐でもある。姑と母がそれぞれお土産を交換したり、奇妙で面白い。そして、いつものくせで姑が息子に、『あなたが、私の言うことをもっとよく効いていれば、今ごろはもっといい生活ができていたのに・・・・』などという言葉に激しくキレて、怒る息子という、まあ、どこにでもある親子の光景を見ては、母はゲラゲラは笑いっぱなしだった。

 古今東西、母と子供の因縁の関係というものが同じように存在する、そんな母同士の共通点が、また一段を母を楽しませたようだ。また、それに対して、姑も非常に楽しんでくれた。

 母が、姑に『おしゃれで、きれいで、本当に素敵な方ですね』と誉め言葉を言うと、姑が嬉しそうに、『ありがとう、いつも息子達にはけなされてばかりだから、こういう誉め言葉は、たとえお世辞でもうれしいわっ!!』と言っていた。

 姑は、今回胸にカメオのブローチをつけて我が家にやってきた。それを見た瞬間、夫は『なんだよ、これ、ババくせえな。田舎のブルジョワもどきみたいな格好しやがって』と攻撃。これらのやり取りをつかさず母に通訳するのだが、なによりも、こういった親子の喧嘩すれすれのコミュニケーションが、母には一番楽しいものだったらしい。

 ディナーのあとは、夫が姑のワンルームマンションまで送り届ける。その間、私と母で、明日の荷造りをした。
 


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