長渕剛 桜島ライブに行こう!



命の音が聴こえますか? (桜島ライブ50)

2004年10月28日(木)

『命の音が聴こえますか?』−桜島ライブ(50)

                 text  桜島”オール”内藤





剛から鹿児島へのメッセージは、これ。
何も言うことない。
シンプルだけど、究極のメッセージ。
南日本新聞の広告ページに掲載されました。


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M-35 STAY DREAM −アルバム『STAY DREAM』(1986)−



第一部、そして、第二部の、
じっくりと、こってりと、
曲をこなしていった頃が嘘のように、
この第三部の剛は、
明らかに急いでいました。

MCもなく、曲が終わると、
すぐに次の曲の準備に入りました。

『電信柱にひっかけた夢』が終わるやいなや、
ギターを替え、
ハーモニカを吹き鳴らして音を確かめると、
ステージ中央に戻ってきました。

そんな剛のあわただしい仕草からも、
ライブが終わりに向かって加速度を増していることが、
否応無しに実感されました。

一曲でも多く、一分でも長く、
このライブが続いて欲しい。
そんな願いが、一曲ごとに高まってきていました。
でも、大丈夫。
少なくとも、これが演奏されるまでは、
ゼッタイにライブの最終曲はやってこない。
そう、僕に思わせてくれた曲がありました。
そのうちの一曲は、『桜島』。

そして、もう一つは、
歌詞のどこを切り取っても、
曲のどこを切り取っても、
すべてが剛の肉と骨のような歌でした。

聴きたい。でも聴くのが惜しい。
その曲が歌われるときが、ついにやってきてしまいました。


死んじまいたーーい ほどの
苦しみ悲しみ 
そんなものの
ひとつやふたつ



とうとう来た。来てしまった。

「おおーーーっ!」

特上級の観客のリアクションが、
この曲の存在感を雄弁に物語っていました。

手探りしてでも、『STAY DREAM』!

剛がくるしみのどん底で産み出した歌。
くよくよするな、あきらめるなと、
繰り返し、繰り返し、ささやいてくれる歌。
苦しみ、悲しみにぶち当たったとき、
自由は不自由さの中にあるのだと、
ほんとうのことを思い出させてくれる歌。


誰もがここ あそこに
しょい込んでるもの
腰を降ろし ふさぎ込んでも
答えは Nothing

ぶっとばしたい ほどの
怒りやくやしさ
そんなものの ひとつやふたつ
殴られた 痛みは
トライへの ワンステップ
尽きせぬ自由は
がんじがらめの 
不自由さの中にある



いつも必ずと言っていいほど、ライブのハイライトに歌われる歌。
でも、おなじみだからと言って、衝撃を伝えないかというと、
それはまったく的をえていない。

いつも聴いている歌だからこそ、
この桜島で、その歌を聴くことに衝撃がある。
いつも聴いている歌だからこそ、
この桜島で聴いていることのスゴさが、
五感を通じて伝わってくる。

かつて武道館で、東京ドームで、
代々木体育館で、横浜アリーナで観たライブ。
それらのライブたちと、桜島ライブの違いを、
これでもかと感じることができました。

いろんな会場で聴いた『STAY DREAM』とは、
歌は同じでも、それ以外は何もかもが違う。

剛が違う。
あんなにも消耗し、気力だけがギラギラしている剛。

場所が違う。
何にも囲まれていない。壁にも、天井にも、フェンスにも。
桜島の整地された空き地に、人間が集まっているだけ。

時間が違う。
午前5時前の『STAY DREAM』。
かつてない時間帯に、夜明け前に、この歌を受けとめている。

僕らが違う。
汗まみれ、疲労をアドレナリンでごまかして立ち尽し、
やっと、やっと、この歌にたどり着いた。


くよくよーー するなよ
あきらめないで Just like a boy
そのやせこけた 頬のままで
果てしない 迷路の中を
人はみんな 手探りしてでも
STAY STAY DREAM
そう STAY STAY DREAM
STAY STAY DREAM



言うまでもない。大合唱だ。
心にも、脳裏にも刻まれたフレーズを、
剛と歌い上げた後に待っているのは、
ドラマチックなブルースハープ。
ここ桜島でも、心が震える音色。

ほとんどアコースティックギターだけで、
飾り気なく歌われた『STAY DREAM』でした。
それだけに、なおさら、
剛の体を切り裂いて飛び散った、肉片や血流が、
言葉とメロディになっているような生々しさ。

僕が、初めて観た剛のライブ。
Never Change ツアーの東京ドーム。
あのとき、なんなんだ、これはと、
呆然とするしかなかった、
あまりにもドラマチックな歌、『STAY DREAM』。
その音源は、シングル『とんぼ』のカップリングに収録され、
今でも、その感動を思い起こすことができます。

僕は、そのときの『STAY DREAM』を思い出していました。
目の前で繰り広げられているのは、最新の『STAY DREAM』。
二つの『STAY DREAM』のあいだに、
僕がリアルタイムで経験した剛の歴史が、
見事に挟み込まれていました。


もう これ以上 先へはーーー
進めない・・・・・



ライブでは恒例の、
『STAY DREAM』の曲のストップに、
あらん限りの声で、剛の名前を叫ぶ観衆。

あのときも、あの、初めて足を踏み入れた東京ドームで、
去って行く恋人の名を叫ぶように、
別れの駅で友達の名を叫ぶように、
剛の名をあらん限りの声で叫ぶ観客たちがいました。

あれから15年。
僕も剛の名を叫び続けているのです。

「ツヨシーーーーっ!」

届いたでしょうか。
15年の万感の思いを込めた叫びが。
声帯が張り裂けるほどの叫びが。


たとえば 挫折が
目の前に 立ちはだかる
そんな夜は 心で
命の音を聴け

たかがこんな自分はと
一度だけ からかってみなよ



『STAY DREAM』の味わい深い歌詞の中でも、
ひときわしびれるフレーズが歌われていました。

『STAY DREAM』は、挫折に打ちひしがれたときに、
何をしたらいいのかを僕に教えてくれました。
命の音を聴けばいいのだと教えてくれました。
自分をからかってみればいいのだと教えてくれました。
そして、それは、ほんとうのことでした。
ほんとうに、そうするだけで、よかったのです。


くよくよーー するなよ
あきらめないで Just like a boy
そのやせこけた 頬のままで
果てしない 迷路の中を
人はみんな 手探りしてでも
STAY STAY DREAM
そう STAY STAY DREAM
STAY STAY DREAM
STAY STAY DREAM
STAY STAY DREAM



剛、ついに『STAY DREAM』が終わりました。

剛のファンは、みんな真面目な人ばっかりだけど、
『STAY DREAM』が歌われるときには、
そんなみんなが、さらに真剣な目をしているよね。

剛、僕はいつも母親に、
「もう夢を見るのはやめとくれよ」
と言われるんだ。
図らずも、その言葉で、
自分が夢を見続けていることに気付かされます。

でも、まだまだやめられそうにありません。
勇気を失い、情熱が冷め、、
夢という言葉を忘れそうになったころには、
剛と『STAY DREAM』を歌うから。

桜島で歌った『STAY DREAM』は・・・
これから何年もあとを引きそうです。



続く



<次回予告>
夢・・・とくれば、青春だ!
サヨナラできない、青春には!いくつになっても・・・。
青春なんてラララ・・・じゃなくて、ライライライ。

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