長渕剛 桜島ライブに行こう!



時間に追われていますか? (桜島ライブ51)

2004年10月29日(金)

『時間に追われていますか?』−桜島ライブ(51)

                 text  桜島”オール”内藤





作りました。剛のクレジットカード。
カードが届いて見ると、これがなんともいい感じ。
同じデザインのミニキーホルダーも付いていた。
思ったことは、ゼッタイにこのカード傷めないぞ、ということ。
買物にもキャッシングにも使わずに、ただ大事に持っていようと・・・
(なんのためのカード・・・?)


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M-36 GOOD-BYE青春 −アルバム『From T.N.』(1983)−



『STAY DREAM』に引き締まる、観客の顔つき。
『STAY DREAM』で増す、心の純度。
誰もが少年少女の顔をしていました。
聴く者の背骨を伸ばす歌でした。

『STAY DREAM』を終えたことで、
いい空気ができあがっていました。
ひとつの大きな終わりへ向かう覚悟が、
すべてを完結させるための納得が、
観客の中に漂ってきていました。

『桜島』が来る。
夢の時間が終わってしまう。

もはや、次はどの曲だろうと、
胸をワクワクさせる時間は過ぎ去り、
一曲、一曲、確実に迫っているライブのフィナーレの影に、
怯える僕がいたのです。

笛の音のようなイントロのメロディが流れました。
どこかで聴いた、メロディ。
最近の曲のような気がしました。
なんだろう。でも、とにかく『桜島』じゃない。
まだ、終わりにはならない。
僕は安堵しました。

少し前方の観客が、持ってきたひまわりを差し上げていました。
そうか、『ひまわり』のメロディか・・・
ここで『ひまわり』ってのもスゴイな・・・

そんなことを、ぼうっとした頭で考えていると、
やがて、主旋律のメロディが・・・

違う!

『ひまわり』じゃない!
この曲は・・・

あのときの苦い涙に『GOOD-BYE青春』!

そうでした。
ZEPPでも聴いたのでした。
あのときも、違う曲かと思ってイントロを聴いていたので、
『GOOD-BYE青春』とわかって口アングリで驚いたのでした。
なのに、また、この桜島でもビックリしてしまった・・・


GOOD-BYE 青春
いいことなんか なかった季節に
夢だけ 置き去りに
白い手紙を 破り捨てれば
ひらひらこぼれて ジグソーパズルのようさ


パズルのようさ・・・のようさ・・・


しかし、すぐに気を取りなおして、
「パズルのようさ・・・のようさ・・・」
のリフレインに即対応する切り替えの見事さに、
我ながら感心してしまう。


GOOD-BYE 青春
答えを 探して
あてのない風に吹かれて 立ち止まる
夜明け間近に 膝を抱えて
懺悔のウォッカじゃ なんだか酔えないみたい


酔えないみたい・・・ないみたい・・・


本編も歌うのですが、この歌で、このリフレインの合唱は欠かせない。
しかし、さすがに古い歌すぎて、知らない人が多く、
そのリフレインの合唱は音量不足、パワー不足。
なんだか歌っている自分がマイナーな気分になってしまいました。
あるいは、マニアな気分というべきか。

しかし、そのあとのサビは、
相変わらずの大合唱!
マニア気分から脱出に成功だ。


誰のせいでもなくて
背中がとても 寒くて
俺の抜け殻だけが 宙に舞う
ライ! ライ! ライ! ライ!

ああ このまま 悲しみよ 雨になれ
ああ このまま 悲しみよ 雨になれーっ!



いい時間帯に持って来てくれた。
そう、思いました。
『GOOD-BYE青春』、メロディは剛なんだけど、
詩が剛の作品じゃないから、どうも深みが甘い。
秋元康も剛っぽく書いているんだけど、
やっぱり体温の低さは隠せない。

ZEPPのようにサプライズならテンションも上がるが、
今回は2回目だし、予想の範囲。
普通なら、『STAY DREAM』のあとでは荷が重過ぎる。

しかし、なんといっても、夜明け前。
この時間帯、『桜島』の露払いとしては、
こういうポップな曲調がなんとも嬉しい。
歌い心地も快適そのもの!
ライ!ライ!ライ!ライ!

それにしても、ZEPPでもアンコールで演奏され、
桜島でも、第三部でと、かなり破格の扱いでした。
剛には、かなりの思い入れがある曲なのかもしれません。

考えてみれば、
剛主演の初期のドラマ『家族ゲーム』の主題化であった、
『孤独なハート』と『GOOD-BYE青春』が演奏されました。
その一方で、
後期のドラマや映画の主題化はほとんど演奏されませんでした。

『ひまわり』
『RUN』
『しゃぼん玉』
『SUPER STAR』
『ろくなもんじゃねえ』
『しょっぱい三日月の夜』

やっぱり、軌道に乗ってからのドラマよりも、
初めて役者として認められたころのドラマの方が、
印象に残っているからかもしれません。

『孤独なハート』は演技者としての第一歩を記したときの曲。
『とんぼ』は時代の先端へと踊り出たときの曲。
『激愛』は大ヒットで業界を震撼させた映画の曲。

そんな、桜島で歌われた主題歌たちはどれも、
剛の歴史の中でも特筆される作品の主題歌でした。
『GOOD-BYE青春』も、演技者としての剛の才能が開花し、
世の中に広く認められたときの主題歌曲なのです。

僕はここにきて、ようやく気付きました。
桜島ライブの演奏曲は、
剛の歴史を網羅することをコンセプトにしていることに。
ほとんどすべてのアルバムから、
曲を選んでいることにもようやく気が付きました。

ZEPPで演奏した曲、
そして、桜島で時間がなくてカットしたと噂される曲も含めれば、
曲のセレクトがなかったアルバムは『ふざけんじゃねえ』くらい。
まさしく、剛の音楽キャリアの集大成が、
桜島の選曲に結集されていました。

『STAY DREAM』で、
終わりに向かって突き進むかに見えたライブでしたが、
『GOOD-BYE青春』がそんな空気を和らげてくれました。

ほとんどCDサイズで、スパッと『GOOD-BYE青春』を歌い上げた剛は、
言葉を客席に送ることなく、また、次の曲の準備に入っていました。
ハーモニカホルダーをセットし、ギターを抱えて、
センターマイクの前にそそくさと戻ってきました。
一曲でも多く歌うためにと、一切の無駄を省いて、
演奏と歌だけに集中していました。

時間を気にする必要などないはずの、
オールナイトライブなのに、
なぜにこんなにも時間に追われねばならないのか・・・

帰りの足を気にしてのことだとは知っていても、
できることなら、
時間の足かせのない中で、
思う存分歌わせてあげたい・・・

そんなことを考えながら、
歌い急ぐ剛の姿を、追い続けていました。



続く



<次回予告>
朝焼けに桜島の輪郭が、うっすらと見え始めた。
グッバイ青春と歌った悲しみの夜はもう終わり。
鹿児島青春朝焼物語のど真ん中で、
僕の両足は鉄の棒のように重いのでした・・・

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