ライブ前夜、はやる気持ちを抑えられますか? (桜島ライブ4) |
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2004年08月27日(金)
『はやる気持ちを抑えられますか?』−桜島ライブ(4) text 桜島”オール”内藤
天文館で、太陽が待ち切れない人たち。ライブ前夜の夜は更けていく・・・
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リハーサルの音がやむと、 シーンと静まり返った桜島でした。
僕と友人は顔を見合わせました。
「どうする?聴く?」と友人。
「・・・・」と僕。
このとき、すごく悩みました。 ライブでやる曲は、やはり当日の楽しみにしておきたい。 すでに聞いてしまった『孤独なハート』は、 ZEPPですでに演奏しているので、 桜島でやるだろうことは薄々わかっていたのでいいのです。 でも、まだ聴いていない曲がこのあと演奏されたら、 明日の楽しみがなくなってしまいます。
悩んでいるうちに、また音が出始めました。 どうやら、僕らが到着した時点で、 『孤独なハート』のリハーサルは終わったようでした。 演奏されていたのは、別の曲でした。 はたして、ZEPPで演奏されていない曲が演奏されてしまいました。
『激愛』でした。
「おーっ、激愛!」
思わず大きな声を出してしまいました。 とりあえず、始まってしまったので、 聴くしかない、と思いました。
その『激愛』は、 まぎれもなく『激愛』なのですが、 観客を入れたライブで歌うときの真剣度を100とすると、 60くらいの感じで歌う『激愛』でした。
バンドとのタイミングを合わしたりといった、 いろんなチェックをしながらの歌唱になるので、 あの、切々と歌う『激愛』とはちょっと違った感じでした。
明るい空の下で、ちょっと軽めの『激愛』。 悪くない・・・というか、けっこう気持ちいい。
「明日は一晩中、ライブなんだから、 ほんの一部くらい聴いても大丈夫じゃない?」
そう言うと、僕と友人は桜島の大地に腰を下ろして、 演奏を止めては繰り返される『激愛』に耳を澄ましました。
だいたい1時間半くらいのあいだ、 そうやって僕らはリハーサルを聞いていました。
『激愛』に続いて『ガンジス』が演奏されました。 友達と剛に関する雑談をしながら、 『ガンジス』の生演奏に耳を傾ける・・・ 目の前に広がるのは桜島の自然と空。 なんという贅沢な時間でしょう。
一番興奮したのは、まさかまさかの選曲の、 あの曲が演奏されたときでした。
『スタンス』です。
このときばかりは、思わず大声で、
「マジで!! うわー、スゴイ! これ、明日めちゃくちゃ盛り上がるよ!」
と言ってしまいました。 『スタンス』はアルバム『Hungry』に収録されている、 すごくカッコいいロックナンバーです。 ライブで聴いたことはこれまでまったくありませんでした。
リハーサルとはいえ、大興奮してしまった『スタンス』。 剛は、この曲をライブのハイライトのひとつとして、 用意しているのだということがやがてわかりました。
なぜかというと・・・・
ものすごく入念に、 リハーサルをしていたからです。
何度も何度も演奏を止めて、指示を出し、 何度も何度も繰り返し演奏し、歌っていました。
このままずっと聴いていたいという気持ちはありました。 でも、たぶん重要な曲が最終調整されている、 ということは十分に感じました。 それだけに、このまま聴き続けたとしたら、 今回最大に楽しみにしている 『Captain of the Ship』 が演奏されてしまう可能性があります。
これをやるのか、やらないのかは、 単なる選曲以上の意味を僕は感じていました。 はたして、翌日これを演奏するのかどうかは、 桜島ライブ最大のビッグクエスチョンだと思っていました。 だからこそ、この日にその結果を知るような事態だけは、 何が何でも避けなければなりません。
「これ以上は、危ないから帰ろう」
そう僕が言うと、友人も、 僕が意図していることを理解したようでした。 心の中で、声はすれど姿は見えない剛にむけて、
(じゃあ、剛、また明日・・・)
とつぶやいて、僕らは腰を上げました。
フェリー乗り場方面に向かう僕らの背中を、 延々と繰り返される『スタンス』をシャウトする、 剛の声が追いかけて来ていました。 それはフェリー乗り場でもかすかに聞くことができました。 剛は夜になってもリハーサルを続けていたそうですので、 あのあともたくさんの曲を歌っていたはず。 それにしても、いったいどのくらい長くやっていたんでしょう? 『スタンス』を・・・。
フェリーに乗り、振り返って島を見ながら思ったのですが、 桜島はなんともきれいな島でした。 こんなきれいということは、 あまり普段は観光客が来ていないのかな・・・と思いました。 ホテルに戻ったときに、桜島がきれいな島だったことを、 ホテルのフロントの人に話しました。
すると、フロントの人は、
「ボランティアの人が島の清掃をしたそうですよ。 長渕剛のコンサートがあるからって。」
と言いました。
ちょっと・・・いや、かなり、嬉しくなりました。 鹿児島のあたたかさを感じました。 おもてなし、という気持ちを久々に感じたのです。
ホテルで一休みした僕たちは、 夕ご飯を食べに、天文館の賑わった通りに出かけました。 もう、陽はすっかり落ちて暗くなっていました。 いたるところにギターを鳴らして剛の唄を歌う人たちがいました。
中でも、アンプも通して、迫力ある演奏をしていた人たちの前では、 20人くらいの人が歌を聞いていました。 『Keep on Fighting』を歌っているのを僕たちも聴きました。 それから、食事を取らなければならないので、 彼らの演奏場所から離れて、レストランを探しました。
天文館には、「白熊」という名前のかき氷や、 僕のすきなハーゲンダッツのお店があったりしたのですが、 冷たいものは万が一お腹を壊すといけないと考え、 無難な和食のレストランを探して、 がっちりエネルギーを補給しました。
そしてレストランを出て、またホテルの方向に戻って行くと、 さきほど演奏していた人たちは、 ますます最高潮で演奏を続けていました。 なんと観客は食事前の3倍くらいに増えていました。 みんなまるで剛のライブを見ているかのように、 一緒に歌っていました。
曲は『桜島』。
「オーオオオオー オーオオオオー」 と声を合わせて歌っていました。 僕らもしばし耳を傾けました。 そして、次の曲は『しあわせになろうよ』。 女の子の悲鳴のような歓声があがりました。 みんなで大合唱していました。
明日が待ち切れない・・・ 桜島ライブ前夜、天文館の街中に、 いつ終わるともしれない演奏と歓声が続いていました。
続く
<次回予告> ついにきた、決戦の日、8月21日。フェリー乗り場の長蛇の列。
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