2004年08月28日(土)
『行列に並ぶのは嫌ですか?』−桜島ライブ(5) text 桜島”オール”内藤
会場への入場待ちの列ではありません。 フェリーに乗るために並ぶ人々。
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桜島ライブ前夜、僕らはできるだけ遅くまで眠りませんでした。 剛のベスト(自作)をかけながら、 コーラを飲んで語って、たぶん3時くらいに眠りました。 起床はお昼過ぎでした。
こうした人は、前日に現地入りした人には多かったと思います。 言うまでもなく、オールナイトライブに備えた作戦でした。 ライブは夜始まり、朝まで続く。 だから、できるだけ前日は遅くまで寝て、 ライブ中に眠くなるのを避けようとしていました。 そのための、前日鹿児島入りでした。
さて、問題はこのあとです。 僕は当初、午後2時頃に桜島に向け出発することを考えていました。 フェリーがどのくらい混むかの予想がつかなかったからです。 一方、友人は、
なんと午後5時の出発を主張。
彼の主張の根拠は、 前日グッズを買いに桜島に渡った時のフェリーのキャパシティでした。 3フロアに渡って、人が乗れるところがあり、さらに、 一番下のフロアの自動車を載せるところにも人を入れれば、 一度に500人近く乗るだろう。 6隻のフェリーがピストン輸送するとのことでしたので、 1隻あたり、10往復くらいの運送で、 ピークのときの観客も運べるはず、と言うのです。
なるほど、それは一理ある、と思いました。 車両スペースは、観光バスでも収容できる大きさがあるのです。
それに、5時に出発しても、2時間くらいで到着との読みがありました。 フェリーで1時間待って、会場入り口でどんなに混雑したとしても1時間、 合計2時間の待ち時間、これを超えることはいくらなんでもないだろう。 だから、遅くても7時くらいには到着できるはず。 9時から始まる剛の登場に遅れることはないと考えました。
僕らは、友人の案を採用し、午後5時に出発することにしました。 なにしろ外は歩いているだけで体力を消耗する暑さ。 遅い出発ほど、ライブに向けての体力温存となります。
さて、この日、もう一つの懸念材料に、天気がありました。 鹿児島に来てから、どうも天気があやしくなっていました。 ちょっとの雨は覚悟しないといけないかもしれない。 そんな予報に変わってきていたのです。 僕はカッパを買うべきかどうか、迷っていました。 迷いつつ、僕らは昼食を取るため、 また天文館の繁華街に向かいました。
定食を軽めに食べて、レストランを出ました。 すると、あろうことか、雨が降り出していました。 それも、かなりの強さでした。 雨は、僕らがアーケードに沿って歩いていくあいだも、 どんどん強くなっていました。 アーケードが終わり、 濡れながらでなければ先に進めないところまで来て、 僕らは足止めをくらいました。 走ってホテルに向かったとしたら、 間違いなくずぶ濡れになるような、 文字通りのどしゃ降りだったからです。
昨晩、桜島のグラウンドで入場待ちの列に並んでいた、 あの人たちは、いったいどうしているだろうと思いました。 12時に開場だったはずですので、 もう会場入りしているはず。 きっと、このどしゃ降りに逃げる場所もなく打たれているはず。
会場の地面はどうでしょうか。 泥の海となった会場を想像しました。 それよりもなによりも、この雨は止むのか? いくらなんでもこの強さで降り続けることはないと思いましたが、 ライブ中もしとしとと降り続く予感はぬぐえませんでした。 あと7時間もすればライブが始まるというのに・・・
僕らは、悶々とした思いを抱えながら、30分以上、 強い雨が叩きつける天文館交差点の道路を見ながら、 立ち尽くしていました。
剛の、7万人の観客たちの願いが通じたのか、 やがて徐々に雨は小降りになり、 急速に天気が回復してきました。 とうとう、太陽まで顔を出して、 湿気を含んだムワッとした空気が充満してきました。
僕らは、ホッと胸をなでおろしてホテルに戻りました。 きっと、ライブ前に雨雲が雨を全部放出しておいたのだと思いました。 途中、桜島に持って行く食料を買い込みました。 水を4リットル、カロリーメイトや、グロンサン内服液、 アンパンやクリームパンといった、食べやすいもの、 飲みやすいものを買いました。 カッパを買うのはやめておきました。
それから、食後の休憩を兼ねて、 2時間ほどホテルで剛の曲を聴きながらのんびりと過ごし、 午後4時半に桜島フェリー乗り場に向かいホテルを出ました。
ホテルから徒歩15分でフェリー乗り場に着いたのですが、 僕らはまたフェリー乗り場からずっと離れたところまで、 歩いて行かなければなりませんでした。
思うに、今回の桜島ライブというイベントが、 いつ始まったのか?という質問に答えるとしたら、 おそらく、このフェリーの列に並ぶときからスタート。 そう考えるのが自分では一番納得がいきます。
長渕剛 桜島オールナイトライブ、 長い長いイベント、いよいよ幕開けです。
フェリーに乗ろうとする人たちの列が、 階段をずーっと降りて、 さらに川に沿って列が延々と伸びていき、 その列の最後尾に並ぼうとする人たちの歩く列が、 フェリー乗り場周辺から伸びているのです。
フェリー乗り場が見えなくなるほどに遠くに来て、 やっと列の最後尾に並ぶことができました。 ジリジリと照りつける雨上がりの太陽の下、 ひたすらフェリー乗り場まで列が進むのを待ちました。 日差しが強いので、 日射病を恐れて頭にタオルなどをかけている人がたくさんいました。 僕らもマフラータオルで頭をカバーしながら、 無言で耐え続けました。 野球で言うなら、まだ1回表。 まだ12時間以上も闘いは続くのですから。
フェリー乗り場までやってきてから1時間が経過して、 ようやくフェリーに乗ることができました。
フェリー乗り場に着いて5分後には海に出ていた、 昨日とはまったく状況は変わっていました。 しかし、フェリーの回転率は見事なものでした。 2ヶ所の乗り場に、入れ替わり立ち替わり、 ピストン輸送で回ってくるフェリーに、 次々と観客たちが吸い込まれて行きます。
2ヶ所のうち、1ヶ所では、車両を載せていましたが、 もう1ヶ所では、車両のフロアにも人をぎっしり乗せて、 船が沈むんじゃないかと思うような状態で出航していました。
僕らも車両を乗せないフェリーで桜島に向かいました。 到着したとき、すでに時間は6時です。 前日、僕らを迎えてくれた剛の大看板はなぜか取り外されていました。 予想に過ぎませんが、おそらく記念写真を撮るために、 人の流れが悪くなると考えたのではないかと思います。
さあ、あとは会場に向かうだけです。 まだまだ明るい桜島。歩道いっぱいの人たちと共に、 悪くないペースで歩いて行きました。 暑くてすでにTシャツは汗でびっしょりでした。 ツアーグッズのマフラータオルが大活躍していました。
会場までの道のりは、確か溶岩道路という名前の道を、 2.5キロという距離だったはずです。 多少の道の混雑や、入場時に時間がかかるとしても、 7時にはどうにか会場入りできると思っていました。
それが、まさか、
30分で3歩しか進めない・・・
そんな悪夢のような状況が待っていようとは・・・
続く
<次回予告> 会場への道路が封鎖され、 溶岩グラウンドで、1時間半の足止めを食らう・・・ ぎっしりグラウンドを埋め尽くした観客、見えない状況にあせる心。
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