だから猫が飼いたいのに・・

2007年10月12日(金) 本「空中庭園」

角田光代 文春文庫 

今年は、久しぶりに上京を重ねる。
そして、近年はあまりしなかった移動中の読書をする。

鉄道でも移動中の読書は目に負担がかかるというので、控えていたのと
疲れていて、ぐっすり寝ていることのが多かったからだ。

新大阪の駅構内の書店で読みやすそうな小説を選ぶ。
8月は瀬尾まいこの「たまごの緒」を読みました。
家族、親子、兄弟の関係が面白かったです。
きれいではかない感じが作者さん独特でいいです。

今回のも家族がテーマ。
のっけからホテル「野猿」の話題で意表をつく。
(どうでもいいけど、ずっとヤエンだと思っていました。)
家族の間には「秘密」を作らず、仲の良い家族だけを目指した不自然な家族。
仲は悪くないので、演じているわけではないので、余計にイタイタしい。
しかも、その夢を続けさせたい母の願いがすごくむなしい。

でも、これはこのままで、なんとなくいけそうな気もする。
自分さえ真実を暴かなければ、忍耐し続ければ、
人間関係ってそんなもの。
それは家族だからこそなのだ。

肉親だからといって、なんでも言いたい放題して良いと思ってる人がたまにいる。
家族だから、血がつながっているからと、絶対にキレないと確信して
呆れるくらい依存したり、無茶・無謀を押し付ける人がいる。
泣いたり、わめいたり、関係性や力で脅して言う事きかせているだけなのですが
そういう横暴な人は気付かないのですね。
ま、満足してるんだろうからいいのかもしれないけど。

自分のいう事をなんでも聞いてくれる、無理をきてくれることを
愛情のバロメーターだと思う人は、
関係性が深くなればなるほど、迷惑な存在になる。
たまに、そういう無理を聞いてあげるM的な人もいるけどね。

この家族は一見、あけすけに何でも言い合えるという関係を強調しながら
その実、大事なことは何一つ語り合ってない。
実に他人行儀な家族なのでした。
でも、それでもいがみあったり、憎みあったりするよりはいいような気もします。

家族や関係が深くても、所詮、一人一人、別な人間なのだ。
程よい秘密、程よい依存というものがあるほうが、関係は長く、信頼も厚くなるってものだと私は思う。
私も肝に銘じておきます。

それにしても、この作者の本を3冊読んだけど(いずれも代表作)
私にとってのコレというヒットはない。
面白くないことはないけど、すごく面白いわけでもない。
いつ、来るか、来るかと待ったるのですが・・
それはもう合わない、ってことなのかな。


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