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新たなる時が巡りてまた繰り返される。 | 2007年01月19日(金) |
――そうして、千年の王国は滅びゆく。 建国の祖はヴィンツェンツ、東の故国を兄に追われて一族と共に西の地に逃れ着きたり。都の礎を築いて世を去りぬ。 父の名を継ぎ王に立ちたるヴィンツェンツ・アントーン、国の理を定め、人々を率いて周辺の土地を平定す。 それより五代の間は平穏な時を過ごしたり。蛮族の襲来はあれど、輝かしき王国に一片の曇りなし。 次に立ちしはオスヴァルト、東の帝王シルヴェストルと約定を結び南の都を陥としたり。されど盟友シルヴェストルの裏切りにあいて命を落とす。 伯父の仇討ちを神に誓いし次王アンドレアス、己が地盤を固めしのちに、老齢に至りたる帝王シルヴェストルの首を討ち取りて誓いを果たす。 北の地は西も東も我らが王国の土となりき。 以後の四代は嵐を受けることなくその治世を終え墓所に眠る。南の蛮族の襲来他瑣末はあれど磐石たる王国を揺らすに足らず。豊穣の大地を離れるべき理由なし。 栄える王国を次に継ぐのは鷹の目と恐れられし王ライヒアルト、武勇はなけれどその英知をもちて国を治むる。己が国の民を愛し、また彷徨う民を迎え入れ、慈愛の君とも仇名されし。 夭折せし兄王の位を継ぐ賢王クラウディオ、健やかなる王国のために尽力す。その新しき定めには未来の民も賞賛を惜しまず。 時代は下りて三代のちの王テオバルト、先代よりの無軌道な政により民の粛清を受ける。各地での蜂起になす術なし、斬首に処され弟王アンゼルムの治世となりき。 これを境に国は緩やかに衰えゆき、最後の王リューディガが立ちしは建国より九百八十九年、代にして二十を数える。 大国として北の地に君臨せども、其が眼差しは力を失くし、威光は薄れ、ついに身の内より滅びの扉は開きたり。偽王が立ちて国は乱れ、豊かな土地を求める国々の侵攻を待つまでもなく崩壊す。 建国より千年、最後の王は玉座を穢しし偽王ともども戦によりてその命を失い、光満ちたる北の王国はついに終焉を迎えたり。 次に国を纏めたるは民自ら、攻め入るかつての同胞と蛮族を辛くも押さえ、新たなる国は血に塗れて誕生す。 |