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No-Mark Stall *




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書物の一節。 | 2006年08月06日(日)
すべては歴史の淵の向こうに。
祝福と呪いを受けた血脈は密やかに継がれ、末裔はただ世界の果てでまどろむ。
因果はとうに喪われ、辿る術は既にない。
みどりごの眠りを妨げることなかれ。

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世界の天秤を傾けるほどの運命は、黄金の黄昏と共に沈む。
夜の栄華は曙光に駆逐されるが定め。
滅びの手から逃れた雪華は地に根付く。
その花を摘むことなかれ、囲うなかれ、知ることなかれ。

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妙なる歌を紡ぐ者を見よ。
裸足で野に踊り、光を浴び、喜びに満ちて世界を讃える声を聞け。
花冠をかむる全き祝福の娘を守護する風は淀んでいる。
恵みを拒むことなかれ。

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世界はたえず歪んでいる。
世界はたえず歌っている。
世界はたえず祝福し、世界はたえず呪詛の言葉をささやく。
世界にとめどなく流れ溢れ絶えぬものを見つめよ、こたえはすべてそこにある。
written by MitukiHome
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