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説明。 | 2005年07月29日(金) |
彼女は悪戯っぽく笑って荒野を指差した。 「あの地平線の向こうまで行くと、深い谷があるわ。雨季には川になるのだけど、乾季の今のうちならこれ以上ない道になるから。それを北に遡ってしばらく行くと、今度は雲を突き抜けるような高い崖があるの。――その頂上が"竜の都"」 「物凄い大雑把な説明だな、おい」 「正確な距離なんて測ったことないから。でもそうね、竜に乗って朝から夕方まで走ったなら七泊くらいで川の道に辿り着くと思う。そこからは二泊程度で崖の下まで行けるから」 崖、と聞いて彼は首を傾げた。 「なあ、どうやって崖登ればいいのさ?」 「飛べばいいじゃない」 あっさりと彼女は言い切るが、彼にはさっぱり意味が分からなかった。 「誰が、何で、どうやって」 「あなたが、竜で」 「普通竜は飛べないぞ?」 「……そっか、そうよね、都のひとじゃないものね、あなた」 ぱちぱちと瞬いた彼女は柔らかい春の光のような微笑を浮かべて竜の鱗を撫でた。 「名前を呼んであげれば良いだけよ、正確に」 「?」 「主と決めた人間にちゃんと名前を呼んでもらえたら、その竜は空を飛べるようになるの」 謎かけのような答えに、彼はあからさまに顔をしかめた。 「意味分かんねぇ」 「呼べたら分かるわ。――いってらっしゃい」 ****** 意味不明でごめんなさい。 |