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2005年07月14日(木) ■ |
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『Walk Two Moons』 |
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なんだか似たような本を読んでしまった。もちろん内容は全然違うのだが、 『The Secret Life of Bees』 にしても、『Walk Two Moons』にしても、女の子が「帰らない母親に会いに旅に出る」といったテーマは同じ。
もっとも、『The Secret Life of Bees』のほうは、原書にしても翻訳書にしても、あのほんわかした表紙からは想像できない、非常に重たい主題が潜んでおり、主人公リリィは、死ぬまでその重荷を背負っていくのだなと思うと、気の毒でやりきれない気持ちにもなるのだが。また、こちらは非常に宗教色が強い。そのあたりを、日本人はどう受け止めるのかなと思う。
シャロン・クリーチは何冊か読んでいて、そのたびに期待を抱いて読むものの、どうも私には合わない作家のようで、毎回失望している。だいたい雰囲気がどれも一緒という感じだし、話に寓意性を感じるのが嫌なのかもしれない。クリーチだけでなく、ニューベリー賞受賞作家は、だいたい合わないと言ってもいいかもしれないが。
しかしその中では、今回の本は一番良かったと言っておこう。ということで、再び失望を味合わないように、シャロン・クリーチはこれで卒業ということにしよう。何年も前に購入しておきながら、ずっと読まずにいたので時期を逸した感もあるが、ともあれ、「読まなくちゃ!」とずっと胸の中にひっかっかっていた本を読み終えて、これまたほっとしている。
上記2冊のような、まるで「これで感動しなきゃ人間じゃないよ」と暗黙のうちに言われているような本は、なんだか同じ感動を強制されているように感じてしまって、居心地が悪い。感想を書くのも非常に辛いのだ。皆と同じように、同じところで感動しましたと書くことも出来るが、そもそも自分の読んだ本の記録であるから、嘘を書いても仕方がないだろう。
さてその一方で、ジョン・スタインベックの『エデンの東』は素晴らしいと感じている。原書を読み始めた頃に、 『The Grapes of Wrath』 を買ってしまって挫折して以来、スタインベックは敬遠していたのだが、さすがノーベル賞作家という貫禄を感じる。私などが言うのもおこがましいが、文章が上手い!と思う。
また挫折したくはないので、翻訳(新訳)で読んでいるのだが、これは土屋政雄氏の訳がいいためかもしれない。しかし、原文が良くなければ、訳者もそうそう上手くは訳せないだろうから、ここは素直にスタインベックは素晴らしいと言っておいてもいいだろう。アーヴィングなどもそうだが、こうした詳細に書き込む作家のほうが、どちらかといえば詩的な作家よりも、個人的には好きなのだと思う。
〓〓〓 BOOK
◆読了した本
『Walk Two Moons (Trophy Newbery)』/Sharon Creech (著) ペーパーバック: 280 p ; 出版社: Trophy Pr ; ISBN: 0064405176 ; Reprint 版 (1996/09/01) 内容(「BOOK」データベースより) アメリカのオハイオ州ユークリッドから、アイダホ州ルーイストンまで、およそ3000キロのアメリカ横断のドライブ―13歳の少女サラマンカは、祖父母といっしょに、家を出たまま帰らない母親に会いに旅にでます。サラマンカは、旅の退屈しのぎに、親友のフィービーをめぐるミステリアスな事件を祖父母に語ります。語りながら、サラマンカは、自分にもフィービーにも新しい発見をしていき、自分の物語は、たくみに綾なされた3つの物語だったことに気づきます。アメリカ的なストーリーのなかで、ひとりの少女が自己にめざめていく過程を、希望をこめて描く、ニューベリー賞受賞作。
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