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2004年09月10日(金)
『Summerland』 読了

<サマーリーディング>用に読んでいた、マイケル・シェイボンの『Summerland』を、やっと読み終えた。シェイボンが自分の息子たちのために書いたというだけあって、内輪ネタである。自己満足の世界。

普通、自分の子どものために書いた本というのは、ただ子どもに楽しんで欲しいという愛情が原点で、仕事とかお金とかがからんでいないから、だいたい面白いものなのだが(トールキンの『指輪物語』も、『ハリー・ポッター』もその類)、シェイボンの場合、仕事やお金がからんでいないと、際限なく自分の好みに走ってしまうんだろうなあという感じ。シェイボン一家には面白いネタでも、読者にとっては不要という部分も多々ある。

つきつめて言えば、話が洗練されていない。シェイボン一家が面白いと思うものは、何でも詰め込んである。そういうことは、一般の日常生活の中にはよくあることだが、とりあえずシェイボンは、プロの作家だし。

シェイボンの知識の豊富さは驚くほどだし、頭脳の中身も並ではないと思うのだが、同じく知識が豊富なトールキンなどとは全く異なる次元のような気がする。もともとシェイボンの作品には、ファンタジックな部分があると思うが、正真正銘のファンタジーは向かないと思う。トールキンのように、すっかりその世界にはまりきれないところがある。

ファンタジーは荒唐無稽でいいのだから、「・・・なんて、それはちょっと大げさだろう」などというのは不要なのだ。「・・・」の部分で止めておけばいいのに。大げさでも、とんでもないホラでも、そもそもがファンタジーなのだから、そんなことはどうでもいいんじゃないかと思う。むしろ、いかに荒唐無稽か、そちらのほうを楽しみにしていたのに、と。

そういう意味では、併読しているロバート・オレン・バトラーの『奇妙な新聞記事』のほうが、はるかにファンタジーとしての要素が濃い。第一印象で、「これはカルヴィーノじゃないか!」と思ったように、こちらのほうが数倍荒唐無稽である。シェイボンの非凡さは認めているものの、彼は児童向けのファンタジーには向かない、どちらかといえばSFのほうがいいんじゃないかという気がしてならない。彼の興味は、一般に言うファンタジーではなく、SF的幻想なのだと思う。

ま、我が子のために書いたのだから、自分の子どもさえ気に入ってくれればいいんだろうけど、期待していただけに、ちょっと残念。無理やり言うなら、『カヴァリエ&クレイの驚くべき冒険』を読みやすくした(『カヴァリエ・・・』のほうがはるかにいいが)感じ?そこに、子供向けということで教訓めいた話がちらほら見えていて、それもまたシェイボンらしからぬと思う部分なのだ。


〓〓〓 BOOK

◆読了した本

『Summerland』/Michael Chabon (著)
ペーパーバック: 512 p ; 出版社: Disney Pr ; ISBN: 0786816155 ; Reprint 版 (2004/02/01)
内容(「MARC」データベースより)
気弱な少年イーサンは、野球の試合でいつもエラーばかりしていた。そこに野球好きの妖精があらわれ、自分たちの世界を救ってほしいという。不思議な仲間たちとの旅がはじまった。冒険ファンタジイ。
世界を滅ぼそうとするコヨーテのせいで、妖精たちの世界はめちゃくちゃになっていた。イーサンは仲間たちと力を合わせて、野球で戦いつづける。そして、ついに最後の試合が開始された。イーサンたちは勝利できるのか?


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