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2004年07月06日(火)
マキャモンとブラッドベリ

久々に図書館に行ってみたら、いつ行っても貸し出し中だった、マキャモンの『魔女は夜ささやく』が上下巻揃ってあった。今読みたいという気分でもなかったのだが、揃ってある時に借りておかないと、今度はいつになるかわからないので、とにかく借りてきた。

これは原書よりも翻訳のほうがページ数が少ないという稀な本で(普通は翻訳のほうがページ数は多くなる)、ほんとにそうなのか?と気になってしょうがなかった。すでに読んだという人には、その都度聞いてみるのだが、原書と翻訳を両方読んだ人はいないため、いまだに謎が解明されていない。なので、これはぜひとも自分で見比べてみなければと、原書も入手してある。

この本は、ハードカバーでは1冊だが、ペーパーバックでは2分冊になっている。こういうのもまた珍しいのだが、とりあえずざっと見たところ、原書の2巻目の最後と翻訳の下巻の最後は間違いなく同じ文章で、訳者あとがきにも、短縮されているとは書かれていないから、たぶん全訳なのだろう。しかし、PBの1巻目と翻訳の上巻の最後は一緒ではない。まだ読んでいないので、翻訳ではどこで切れているのか不明だが、翻訳の上・下巻が原書の1、2巻と対応しているわけではないようだ。

ところでこの本の巻末には、マキャモンのすべての作品案内が載っており、ここの部分だけでも欲しいと思うようなものなのだが、その中の『少年時代』の解説に、おおっ!と思うようなことが書いてあった。

『少年時代』の感想にも書いたが、読んでいるうちに「ああ、これはブラッドベリだ!」と思ったのだ。そう思うのは私だけだろうかと思っていたのだが、そうではなかった。作品案内の解説にも下記のようなことが書いてある。

「マキャモン自身が意識したかどうかは定かではないものの、本書には「スタンド・バイ・ミー」というよりもむしろ、レイ・ブラッドベリ作品に近い質感がある。アメリカの田舎の小さな町を連作短篇のような形式で描いていることから、とくに『たんぽぽのお酒』との相似が見てとれる」

というわけで、やっぱりそうだったか、と嬉しくなった。そもそも個人的には、キングの「スタンド・バイ・ミー」に似ている(または比較対象とされる)とは全く思っておらず、「スタンド・バイ・ミー」を比較に出した人は、たぶんブラッドベリなど読んでいないんだろうとさえ思っていた。ノスタルジックな少年時代の物語という作品なら、なんでも「スタンド・バイ・ミー」に結び付けてしまうのは、安直過ぎる。


◆「BOOK PLUS」新刊

『ぼくと彼女とその彼女』 BOOK PLUS/マリジェーン・ミーカー (著), 代田 亜香子 (翻訳)
価格: ¥1,050 (税込)
発送可能時期:通常24時間以内に発送します。
単行本: 300 p ; 出版社: 角川書店 ; ISBN: 4048970437 ; (2004/06/29)
[ 内容 ]
全寮制のハイスクールを卒業した少年が出会った年上の美少女。胸がキュンとする甘く切ないひと夏の体験。70年代のカルチャーが瑞々しく描かれるポップなアメリカン・ラブ・ストーリー。

<来月刊行予定>
仮)姉の歌声を探して
著:リサ・ジュエル
発売日:未定
定価(税込):予)1050円


〓〓〓 BOOK

◆図書館貸し出し

『魔女は夜ささやく』〈上〉/ロバート・R・マキャモン (著), 二宮 磬 (翻訳)
単行本: 422 p ; サイズ(cm): 19 x 13
出版社: 文藝春秋 ; ISBN: 4163221204 ; 上 巻 (2003/08/28)
内容(「MARC」データベースより)
17世紀末、アメリカ南部。町を襲う魔女を捕らえたとの報に、魔女裁判を行うべくやってきた判事とその書記マシュー。裁判の日が刻々と近づくが、若きマシューは疑念を捨てきれない。獄中の美女は本当に魔女なのか?

『魔女は夜ささやく』〈下〉/ロバート・R・マキャモン (著), 二宮 磬 (翻訳)
単行本: 391 p ; サイズ(cm): 19 x 13
出版社: 文藝春秋 ; ISBN: 4163221301 ; 下 巻 (2003/08/28)
内容(「MARC」データベースより)
「魔女」の処刑まであと数日。彼女の無実を信じ、愛しはじめた青年マシューをよそに、病状を悪化させた判事は、瀕死の床に伏せる。すべての背後にいるのは誰か。その目的は何か。そして悪魔は実在するのか?


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