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| 2004年02月17日(火) ■ |
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| ハーラン・エリスン |
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「新ターミネーター2」シリーズを、惜しみながら読み終えた。いくらでもきりがないほど続いてしまいそうな話なんだけど、やっぱりジョン・コナーが、自分の父親となるカイル・リースを過去に送ったところで終わっておかないとね。映画「T3」とはだいぶ展開が違っているが、これはこれですごく面白かった。
ところでこのシリーズ全作品の献呈謝辞に、「ハーラン・エリスンの全作品に感謝を捧げる」とある。巻末の解説でもこのことに触れており、「作家本人(ハーラン・エリスン)としては非常に論客であり、よく噛み付くことでも有名」とある。
「84年に「ターミネーター」が公開された折には、未来から現代にやってきた兵士というコンセプトに対して「自作アイディアからの盗用」を訴え、実際に訴訟にも勝訴しているという経緯があった。キャメロン(ジェームズ・キャメロン監督)もこれを受け入れ、最初に『T1』がビデオ化された際にはエンド・クレジットに「ハーラン・エリスンの著作に感謝を捧げる」という追加テロップがビデオ挿入された」
なるほど、そういうことがあったのか。というわけで、この「新ターミネーター2」の作者スターリングも、前例を踏まえて、ハーラン・エリスンに感謝を捧げておこうというわけか。
ハーラン・エリスン(Harlan Jay Ellison)は、アメリカでは大人気のSF作家らしいのだが、日本では『世界の中心で愛を叫んだけもの』1冊しか現在は入手できない。他にアンソロジーで『危険なヴィジョン 1』と、『妖魔の宴(うたげ)〈狼男編 1〉』が出ているが、現在は入手不可である(Amazon.co.jp)。
いろいろ見てみると、この人のタイトルのつけ方が独特で面白い。「新ターミネーター2」シリーズの翻訳をした石田享氏が訳している『我が魂はランゲルハンス島沖―北緯38度54分、西経77度00分、13秒にあり』(または『北緯38度54分西経77度00分13秒ランゲルハルス島沖を漂流中』)とか、『“悔い改めよ、ハーレクイン”とチクタクマンはいった』、『俺には口がない、それでも俺は叫ぶ』、『男が椅子に腰をかけ、椅子が男の脚を噛む』などなど、変なタイトルが並ぶ。
解説の品川四郎氏によれば、『少年と犬』(映画もある)というまともな(?)タイトルの作品がお薦めということなのだが、これも短編で、扶桑社ミステリーの『幻想の犬たち』というアンソロジーに入っているようだ。
<MSどす のハーラン・エリスン ファンの部屋>というサイトを見ると、『少年と犬』は、『世界の中心で愛を叫んだけもの』にも入っているようだ。
『幻想の犬たち』/ジャック ダン (編集), ガードナー ドゾワ (編集), Jack Dann (原著), Gardner Dozois (原著), 福島 正実 (翻訳), 安野 玲 (翻訳), 中村 融 (翻訳), 大森 望 (翻訳), 新藤 純子 (翻訳) 文庫: 516 p ; サイズ(cm): 148 x 105 出版社: 扶桑社 ; ISBN: 4594028152 ; (1999/12)
内容(「BOOK」データベースより) 犬は、長い年月にわたってわれわれのそばに仕え、時に人間同士以上に人の心を理解して信頼と友情を築きあう、人類の真の友であった。そんな犬をテーマに書かれた膨大な幻想小説のなかから、現代を代表する名作16編を厳選し、この1冊に結集。人間との間に驚くべき絆を結んだ犬、荒廃した破滅後の地球を仲間とともに生き抜く犬、前人未到の宇宙へ飛び出した犬等々、想像力豊かに紡ぎだされる、幻想に満ちた犬たちの世界。大好評『魔法の猫』『不思議な猫たち』の編者が贈る、犬アンソロジーの決定版。
目次 「死刑宣告」 Auto-Da-Fé デーモン・ナイト(Damon Knight) 「ルーグ」 Roog フィリップ・K・ディック(Philip K. Dick) 「ニューヨーク、犬残酷物語」 Do It for Mama! Concering Dogs, Men & Manhattan :24 Hours of Violence & Tragedy ジェロルド・J・マンディス(Jerrold J. Mudis)Tr:新藤純子 「銀の犬」 The Hounds ケイト・ウィルヘイム(Kate Wilhelm) 「泣き叫ぶ塔」 The Howling Tower フリッツ・ライバー(Fritz Leiber) 「悪魔の恋人」 Demon Lover M・サージェント・マッケイ(M. Sargent Mackay) 「同類たち」 A Few Kindred Spirits ジョン・クリストファー(John Christopher) 「ぼくと犬の物語」 Dogs' Lives マイクル・ビショップ(Michael Bishop) 「おいで、パッツィ !」 Here, Putzi ! フレッチャー・プラット(Fletcher Pratt) & L・スプレイグ・ディ・キャンプ(L. Sprague de Camp) 「逃亡者」 Desertion クリフォード・D・シマック(Clifford D. Simak) 「わたしは愛するものをスペースシャトル・コロンビアに奪われた」 I Lost My Love to the Space Shuttle Columbia ダミアン・ブロデリック(Damien Broderick)Tr:佐田千織(Chiori Sada) 「猛犬の支配者」 The Master of the Hounds アルジス・バドリス(Algis Budrys) 「一芸の犬」 One-Trick Dog ブルース・ボストン(Bruce Boston)Tr:中村 融(Tohru Nakamura) 「最良の友」 Friend's Best Man ジョナサン・キャロル(Jonathan Carroll) 「守護犬」 Wish Hound パット・マーフィー(Pat Murphy) 「少年と犬」 A Boy and His Dog ハーラン・エリスン(Harlan Ellison)
〓〓〓 BOOK
◆読了した本
『新ターミネーター2─最終戦争』(下)/S.M.スターリング 内容(「BOOK」データベースより) サバイバリストらジャッジメント・デイを生き抜いた人間を指揮し、レジスタンスとしてスカイネットに対抗すべく活動を始めたジョン。だが、依然として状況は過酷だった。スカイネットはターミネーターの開発に専念する一方で、狂信的なラッダイトたちに軍の兵士を装わせ、生き残った人間を避難施設への移住と偽って劣悪な収容所に寄せ集めていた。そこで人為的にコレラを蔓延させ、核戦争に続く第二の人類抹殺計画を進めていたのである。だが、その収容所を脱出した若き看護婦と陸軍兵士がいた。メアリー・シェアとデニス・リース…のちにジョンの父となるカイル・リースをこの世に誕生させることになるふたりである。ふたりはジョンの仲間であるレジスタンス部隊に合流、運命の輪が静かにまわりはじめていた…。
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