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| 2004年02月16日(月) ■ |
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| スーザン・クーパー「闇の戦いシリーズ」 |
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2月の目標である「トールキン関連本を読み終える&ジョン・チーヴァーを読み始める」というのを尻目に、そろそろいい加減に読書会の課題本を読まないと!とも思いつつ、気になっていた『コーンウォールの聖杯』を手にとってしまった。これはタイトルからもわかるようにアーサー王の話、と言ってしまうと語弊がある。アーサー王にちなんだ話とするべきだろう。
詳しい内容は「ドルウ家の三人の子どもたちは、古い屋敷の屋根裏から七百年前に書かれたアーサー王伝説をめぐる秘密の古文書を発見する。悪と戦いながら「聖杯」を探し出す子どもたちの物語」(Amazon.co.jp)というわけで、アーサー王が復活するなんてことも書かれていたりするのだが、半分ほど読んだ限りでは、アーサー王は人寄せパンダじゃないかってこと。つまりアーサー王がメインになるという話じゃないどころか、結局アーサー王なんて出てこないんだろうな。
などとはっきりしない事を書いているのは、これはスーザン・クーパーの「闇の戦いシリーズ」(邦訳を含む各巻の詳細はこちら)の第一作目で、このあとまだ4冊も続くので、どういう展開になるのか全然わからないからだ。多くのファンタジーの例にもれず、善と悪の戦いというテーマらしいのだが、たくさんの人に望まれて復刊になったわりには、どうなの?という感じ。
私はアーサー王ものが好きなので、アーサー王という文字が書いてあれば、すぐに手が伸びてしまう。これもかなり期待していたのだが、アーサー王が人寄せパンダだとわかってしまったら、もう面白くないだろう。ストーリーが今いちなのか、翻訳が良くないのか(児童書の翻訳はほんとに難しい。子どもっぽい言葉で書けばいいというものでもない。特に会話部分が問題)、物語の雰囲気もとりたてて心惹かれない。
この先の4巻はどうしよう。原書で読んだら、もっと雰囲気が違うのかなあ。3人のきょうだいが、洋服ダンスをああしたこうしたという設定は、どう見ても「ナルニア」だし、これといって魅力的なキャラクターもいない。冒険のきっかけも気をそそらない。ただ、この先主人公が変わるらしいので、どんな展開になるのか、とりあえず興味はある。
しかしこの本に関しては、最後まで読まないとわからないが、子供向けの粋を出ていないのは明らか。そう思うと、やっぱり「ハリー・ポッター」は違うんだなあ。子ども向けとか大人向けとか全然関係ない。出だしからもう違っている。「ハリー・ポッター」を超えるファンタジーは、なかなか出てこないだろう。もちろん、『指輪物語』は別格だが。
「ハリー・ポッター」も読んでしまえば誰でも書けそうな話だが、なぜ誰も書けないのだろう?ファンタジーなんてと馬鹿にしてはいけない。「誰もが夢中になる」ファンタジーを書くのは、至難の業だと思う。やっぱり「ハリー・ポッター」には魔法がかかっているのかも。
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