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2003年05月23日(金) ■ |
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外国文学の縮約版 |
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マイケル・シェイボンの『カヴァリエ&クレイの驚くべき冒険』は、日本語版は縮約版で(実際にまだ比較してはいないが)、ページ数を見ただけでも、かなり省略されていることが一目瞭然。シェイボン本人はそれで納得しているらしいのだが、シェイボンファンの読者としては、ちょっと納得できない。やはりオリジナルのままで読みたい。今日買ったデイヴィッド・レーヴィットの短編集も、3編が削除されている。何を基準に削除するのだろう?これもまた納得がいかない。
じゃ、原書で読みなさいってことになるんだろうけど、そういう話でもないと思う。売れればいいという出版社の考えだけで、省略されたり削除されたりしてしまうのは、外国文学を読みたいと思っている多くの日本人に、失望を与えるんじゃないかな?と思う。分厚くちゃいけないの?日本人に受けなさそうな話は削除していいの?あらすじだけわかればいいの?と、疑問はつきない。
こういうのを知らずに買ってしまうと、まるで、文庫で7巻にもなる『モンテ=クリスト伯』を、子供向けに1冊にまとめたもので買ってしまったような、そんな気分になる。それでも、英語では無理って場合は(皆が皆、原書で読めるわけじゃないし)、これを読むしかないわけで、なんだか騙されているような、馬鹿にされているような、そんな感じがしてしまうのは、私だけかな?
〓〓〓 BOOK
◆BOOK・OFF
『ピッツバーグの秘密の夏』/マイケル・シェイボン \100 内容(「BOOK」データベースより) アート・ベクスタイン、ピッツバーグ大学4年、インテリでファザコン、父親はギャングスター。ひと夏のあいだに、風変わりな美少女フロックスとホモセクシュアルの青年アーサーの両方を愛してしまう。いったい自分のアイデンティティとは何か?夏が彼自身を明らかにしていく。
※シェイボンのデビュー作。Amazonに原書をオーダーしていたのだが、100円ならこっちでと思って購入。Amazonのほうをキャンセルしようと思ったら、ずっとサインインできなくて困っている。 ●画像は原書『The Mysteries of Pittsburgh』
『ファミリー・ダンシング』/デイヴィッド・レーヴィット \100 内容(「BOOK」データベースより) アメリカの家族の絆の光と影をしなやかな感性で巧みにとらえた"優しく、おかしく、雄弁で、知的でもある驚くべき短編集"(ニューヨーク・タイムズ紙評)…。23歳で華麗にデビュー。80年代アメリカ文学の新しい流れを代表するレーヴィットのベストセラー。
※この間授業でやったレーヴィットのデビュー短編集。思いっきり「ホモ小説」だそうで、南さんが「これはすごい話が入ってるよ」と言っていた。どういう意味で「すごい」のか、読んでのお楽しみ。南さんの表情から判断するに、あまり気持ち良さげではないが。。。しかし、実は原書では9編の小説が入っているが、日本語版は6編。ぱらぱらと見たところ、南さんの言っていた話は見当たらない。削除された3編の中に入っているのかも。。。 ●画像は原書『Family Dancing: Stories』
『ブライト・ライツ、ビッグ・シティ』/ジェイ・マキナニー \100 内容(「BOOK」データベースより) 「80年代のサリンジャー」と謳われたニューヨークの若い作家によるベストセラー。この小説は、現代の都会に生きる「きみ」の物語。
※レーヴィットと並んで、現代アメリカ文学に欠かせない作家。デビュー時期が同じなため、何かにつけてレーヴィットと比較されるが、作家としては全然違うタイプだと思う。 ●画像は原書『Bright Lights, Big City: A Novel』
『あるクリスマス』/トルーマン・カポーティ \100 内容(「BOOK」データベースより) 父さんと過ごした最初で最後のクリスマス。『あるクリスマス』の前年、トルーマン・カーポティは父を失っている。触れあうことの少ない父子だった。カポーティ自身、すでに酒とクスリに蝕まれていた。この作品の翌々年、彼はこの世を去る。最後にみる夢、だったのかもしれない。
※山本容子さんの銅版画入りの本。翻訳は村上春樹だが、このイノセントシリーズの訳は好き。この100円はかなりお得だろう。 ●画像は原書『One Christmas』
『嵐が丘』/エミリー・ブロンテ \100 内容(「BOOK」データベースより) 孤児ヒースクリフとキャサリンの、あまりにも激しい愛の物語―世界文学の最高峰。ブロンテ三姉妹の一人、エミリーはただ一編の小説によって永遠に生きている。ヨークシャの古城を舞台に、暗いかげりにとざされた偏執狂の主人公と、その愛人との悲惨な恋を描く。
※今度新訳が出るらしいが、とりあえず。前に読んだと思うのだが、ほとんど忘れている。文学全集の中の1冊。状態も良く、どうやら未読らしい。小さめのハードカバーで読みやすそう。翻訳は永川玲二氏で、リンクは文庫版のもの。 ●画像は原書『Wuthering Heights (Wordsworth Classics)』
同じ全集の中に『風と共に去りぬ』(上下)もあり、これも100円だった。先日3巻を3600円で買ったばかり。でも、これは読んでいる時間も長くなるし、ソフトカバーのほうが読みやすいので、ま、いいか。
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