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2001年10月10日(水)
シングルトンズ・ダイアリー/ワイドショー的自負と偏見

デレクからメール。バリ島に行っていたらしい。なんと呑気な!

この間ハリー・ポッターの話をして、お互いにあれは面白いねと言っていたんだけど、今日のメールに、「ボクはハリポタよりも、フィリップ・プルマンの<ライラの冒険シリーズ>のほうが好きだ」とあって、わざわざAmazon.comのリンクまでつけてあった。

そうよね、なんたってネイチャー誌の社員だもの、どっちかと言ったらプルマンのほうが面白いに違いない。錬金術よりは科学でしょ。

だけど、このレスを英語でか。。。むむむ。
だいたい「ハリー・ポッターは好き?面白いよね」で会話を終わらせている私としては、プルマンの本の内容に突っ込んだ話を英語で書くとなると、困ったものだ。会話ならなんとかごまかせても、メールとなると、文法の間違いはないかとか、あれこれ考えてしまって時間がかかる。これだからメールは嫌いだ。うげげ。

アポロ13号(ダーリン)もご帰還だし、もうレスは明日にしよう。ちなみに、ダーリンとのメールのやり取りは、こんな感じ。

「こちらヒューストン、アポロ13号応答せよ。帰還予定時刻を連絡されたし。以上、交信終わり」


ところで今日は一日雨だし、外に出たくもなかったので、ジェーン・オースティンの『自負と偏見』を読み終えた。

有名な古典の名作だけど、ブリジットも読んでることだしと思って読んでみたら、『ブリジット・ジョーンズの日記』は、これをベースにしてるんだなってことがわかった。もちろん、マーク・ダーシーはミスター・ダーシーからきていることは百も承知だったけど、お母さんの性格とか、マーク・ダーシーとダニエル・クリーヴァーとの関係とか、ほとんど一緒。

で、ほんとは人間の細かい観察がすばらしいとか、オースティンがこれを書いた背景とか、真面目に読み取らなければいけないのだろうけど、どうも私には、誰が誰とくっついたとか、ミスター・ダーシーはいつエリザベスに結婚を申し込むのだろうとか、申し込まれたエリザベスはどう返事するのだろうとか、まるでワイドショーでも見ているみたいな感覚で、とっても面白く読めた。

それに、ブリジットがよく言う「情緒的うすらばか」は、オースティンの「いけすかない頓馬野郎」の変形に間違いないだろう。「情緒的うすらばか」にせよ、「いけすかない頓馬野郎」にせよ、人間関係の中にはなくてはならない必要なアイテムだってことだろうか。

物語の中でミスター・ダーシーがこう言う。

「広く本を読んで、精神の修養をはかり、なにかちゃんとしっかりしたものを、持つようにならなくちゃいけないでしょうね」

これは、その生活程度や戦争という状況にもかかわらず、読書と教養を自ら努めて身につけていたオースティンの本音だろうと思われる。なぜなら、彼女の中には、「教養と知性─この二つだけは、生まれや富で左右されるものではない」という考えがあったからだ。

貧しいシングルマザーだった、ハリー・ポッターの作者のJ・K・ローリングが、ジェーン・オースティンを尊敬しているというのも十分頷ける。

たしかにサマセット・モームや夏目漱石が激賞するだけのことはあった作品だった。この二人が誉めていれば、まず間違いなく面白い物語といえる。
オースティンのほかの作品も、ほぼ不作はないと言われているので、今度はほかのものも読んでみよう。
たしか『マンスフィールド・パーク』には、ハリポタに登場する猫についている名前、ミセス・ノリスの本物が出てくるはずだし、まずはそのあたりから。


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