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2007年06月08日(金) ■ |
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『水底の仮面』(タニス・リー)読了 |
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●読了:『水底の仮面』(タニス・リー/柿沼瑛子・訳) 原書:Faces Under Water : Secret Books of Venus(Tanith Lee) 鷲鼻の仮面をつけた美貌の青年フリアンは、夜の運河で不吉な作りの仮面を拾う。若き天才音楽家のものと噂されるアポロをかたどったその仮面は、秘密ギルドによって作られたものだった。ギルドの仮面をつけた者がみな、不可解な死を遂げていることに気づいたフリアンは、錬金術師シャーキンとともにその謎を追い始め、やがて青い蝶の仮面をつけた優美なエウリュディケと出会う。歌の主人公を思わせるエウリュディケに心を奪われたフリアンは、さらなる謎と恐怖の世界へ足を踏み入れることに……。 水の都ヴェネチアのパラレルワールド〈ヴェヌス〉で繰り広げられる傑作ロマンティック・ファンタジー
良い翻訳だと思うな。読みやすかった。以前、「英文科の人は、シンプルで分かりやすい文章が好き」と言われたことがあるのを思い出した。昔からのファンには浅羽莢子氏とイメージが違うことから不評もあるようだけど、元々タニス・リーは英文そのものはわりあいシンプルな方だし。 この話は原本の"Faces Under Water"も途中まで読んでいる。途中で投げ出したのは何故だったか忘れてしまったのだけど、日本語で全部読んでみて分かった。この話、気持ち悪いんだ・・・。非常に露悪的で、嫌なところを、さらに念を入れてゴリゴリ強調しているような、私が生理的に嫌いな感じが漂いまくっている部分がある。英語で読むと日本語ほどハッキリは分からなかったと思うけど、「なんか、やだなあ・・・」と思って投げ出したんだろう。場面がコロコロ変わって、ストーリーに一貫性がないので読みにくいし。(本当は意味があるのかもしれないけど、私には分からなかった) こういうの読むと、やっぱりタニス・リーは私に合わない、と思ってしまう。でも、「嫌だなあ」というネガティブな感想にしても、とにかく感情が波立ったのは確かなのだし、何も感じない本よりはずっとよく出来てるってことなのかもしれない。
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