|
|
2005年05月11日(水) ■ |
|
掌の中の小鳥(加納朋子) |
|
●読了:『掌の中の小鳥』創元推理文庫(加納朋子) 内容(「BOOK」データベースより) ここ"エッグ・スタンド"はカクテルリストの充実した小粋な店。謎めいた話を聞かせてくれる若いカップル、すっかりお見通しといった風の紳士、今宵も常連の顔が並んでいます。狂言誘拐を企んだ昔話やマンションの一室が消えてしまう奇談に興味はおありでしょうか?ミステリがお好きなあなたには、満足していただけること請け合い。―お席はこちらです。ごゆっくりどうぞ。
連作短篇集。1週間くらいかけて寝る前に少しずつ読んでいたので、どうも散漫な読み方になってしまったが、作中に流れるゆったりした空気が心地よかった。日常の小さな謎々を解いてくのと平行して、冒頭で出会ったばかりの男女が徐々に距離を縮めて仲良くなっていくという流れ。 大きな事件があるわけじゃなし、話そのものはどうってことない小説。ただしゃれた会話を楽しんで、"エッグ・スタンド”に流れる軟らかい空気をじっくり味わうという感じ。ミステリーというよりも、江國香織や唯川恵の小説に近い雰囲気だと思った。こういうマッタリした癖のない小説を嫌う人は少なそうだけど、「なんとも思わない(感想の出てこない)人」はいるだろうな。私もいつもはそうだけど、今回はちょうど気分にフィットしたらしい。
|
|