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2004年07月01日(木) ■ |
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奇術師(クリストファー・プリースト)読了 |
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●読了:奇術師(クリストファー・プリースト) 原題≫The Prestige(Christopher Priest) <出版社/著者からの内容紹介> 北イングランドに赴いたジャーナリストのアンドルーは、彼を呼び寄せた女性ケイトから思いがけない話を聞かされる。おたがいの祖先は、それぞれに“瞬間移動”を得意演目としていた、二十世紀初頭の天才奇術師。そして、生涯ライバル関係にあった二人の確執は子孫のアンドルーにまで影響を与えているというのだが……!? 二人の奇術師がのこした手記によって、衝撃の事実が明らかとなる!世界幻想文学大賞受賞の幻想巨篇。
評判ほど「幻想文学」とも「SF」だとも思わなかったし、ましてや絶対に「ファンタジー」ではない。どちらかというとミステリー、ホラー系だと思う。19世紀〜20世紀初頭の英国、紳士淑女を相手に燕尾服を着て舞台で演じるマジシャン2人の生活と人生、徐々に謎が解けていく形の語り口はミステリー。ねちっこい描写、語り手が切り替わりながら、事件を多角的に描こうとするところや、計算づくの技巧を色々凝らしているらしいところは非常に文学的。編年体で(特に後半は)日記形式で淡々と出来事が順を追って綴られつつ、マジックのトリック→マッドサイエンティスト、幽霊、交霊術、ゾンビという風に、徐々にゴシックホラーめいて来る。
うーん。【すみ&にえさん】が2人揃って絶賛する本は私と相性が悪いことが多い、という法則がハマってしまった模様。正直、冗漫で退屈だと感じた。テーマはおもしろいと思うし、SF、幻想文学、ミステリと多くの要素が詰まっているのはよく分かるけど、私にはそのどれもが未消化で散漫な印象が残った。特にマジックのステージとトリックの話が延々と続くのに興味が持てなくて、退屈で終わりまで読むのに忍耐が必要だった。
この謎だらけで何が何だかわからないというのと、得体の知れない不気味さ。この本が好きな人は「これがイイ!」ってことなのかもしれないけど、私は気色悪くて嫌だった。しかも、主要キャラクターがみーんなねじまがってて不愉快!(^^; 神経症的か病的な人や悪人ばっかり・・・いや、だから好きな人は「そこがいい」って言うんだろうけれど。特に、この「2人の天才奇術師」ボーデンとエンジャ、私は二人とも嫌で嫌で・・・! なんて身勝手な男ども!! 気持ち悪いっ! この本の悪い評判があまり出てこないのは、ダメな人は初期段階で放り出すからではないの? っていうわけで、私みたいなのもいるってことで、一応正直に書いてみた。
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