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2003年04月06日(日) ■ |
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仔犬のローヴァーの冒険(トールキン) |
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●読了:Roverandom(J.R.R. Tolkien) 『仔犬のローヴァーの冒険』 ←私が読んだのはこの表紙のペーパーバック版。猫ではなく犬、というのがとてもトールキンらしいと思った<私は猫派。 ホビットや指輪へ繋がっていく物語と思うと何やらありがたい感じがするけれど、客観的に見るとあまり面白くない。ストーリーは仔犬が意地の悪い魔法使いによって姿を変えられるところから始まって、お決まりのところに落ち着いて終わる。つまり指輪物語と同じで、物語よりも細部の面白さで読ませるタイプ。ただ今回、私はその「細部」というのが荒唐無稽で乗れなかったわけだ。
<内容> 『ホビット』も『指輪物語』も生まれる以前、ファンタジー作家トールキンが、4歳の息子マイケルのために即興で作った物語、それが本書である。海岸でお気に入りの犬のおもちゃをなくしてしまい、しょげ返る息子を元気づけようと、心優しい父親は奇想天外な話を語りはじめた。 魔法使いの気まぐれから鉛のおもちゃに変えられてしまった子犬のローヴァー君は、おもちゃ屋の店先で買われて少年の家にやってきた。しかし、海岸でうまく少年のポケットから逃れ、なんとか元の子犬に戻ろうと、魔法使いを探し求めて旅立つ。月の世界や海の底、途方もない冒険を経て再び子犬となって飼い主のもとに戻る、というストーリーだ。 小さな子犬の冒険は、カモメの背中に乗って月まで飛んだり、はたまた自分の背中に小さな翼も生えてきたり、とシュールな夢の世界のようでもある。この小さなローヴァー君の物語は、トールキン一家のお気に入りとなった。その後『ホビット』、そしてファンタジー巨編『指輪物語』を執筆する際の、大きな動機となったに違いない。
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