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   Written by なお。
◆日記『心地よい孤独。』◆
孤独はいいものだということを我々は認めざるを得ない。
しかし、孤独はいいものだと話し合うことの出来る相手を持つことは一つの喜びである。
byバルザック
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2004年12月27日(月)
できるだけ“遠く”を見渡せ。― Driven by a relentless curiosity ―



今年ももうすぐ終わり、というコトで、今日は軽めに、今年嬉しかったことでも書いておこうかと思います。というか、今年1年は、わたしにとっては、特に大きな変化もなく、なだらかな年だったので、まずはそれに感謝ですね、ふむふむ。

で、嬉しかったこと、というか、励みになったのは、少し困ったコトがあったとき、具体的に言うと、人に流されて自分の目標を見失いがちになった時期に、下の文を送ってもらったことかなぁと思う。ので、かな〜〜〜〜り長い、ですが最後に引用しておきます。

下の文を何度も繰り返し読むことで、自分が今いる現在地点が認識できるようになり、気持ちが落ち着いたという感じでしたなぁ。どうなりたいか?、を考えるのではなくて、その前に、"Remember Who You Are"(=自分はいかほどの者なのかを思い出す&忘れない)のほうが大事、ということを教えられたように思います、はい。

つまり、「自分は小さい存在だ」という認識から出発するのが大事、ってコトなんだと思う。ということで、何はともあれ、送ってくれた某氏に感謝ですw

ポイントはやはり、

★感情が高まり欲望がみなぎるが、呼吸に集中し心を静める

★私はそこに座り、彼らが敗退していくのを見物し、そして水が描く黒い筋をたどりながらフェースの複雑さを見つめた。雲は薄れ始めている

★「登る」という最も力強い本能に完璧に没頭した。

★ハーフドームをソロでスピード登頂することは何年も考え続けてきたことだ。しかし手を伸ばし、ホールドを掴んだとき、私の心は全くの無だった。指が1つ1 つのホールドをしっかりと掴み、私は恐れることなく岩の上を移動する

★墜落というオプションは私の現実には存在しない

★私は目前に迫った「完了」の期待を押さえ、頂上を目指した

★「経験とは致命的でない間違いの連続である」という結論に私は至った

★できるだけ“遠く”を見渡せ

ですなぁ。クライミングやスポーツって、投資の世界に通じる要素があるんだなぁと思った。来年も"容赦ない好奇心を原動力に(=driven by a relentless curiosity)頑張りますわ。もちろん、マイペースで。呼吸に集中し心を静めて。できるだけ“遠く”を見渡して。



カラスの飛翔に魅了され、その影が金色に輝く花岡岩を滑らかに移動するさまに見とれていた。ただ生きてるだけのような人間がひしめく雑然としたこの世界の上空を飛翔する、その自由さに憧れを感じたのだ。最近の私は、過去のことや今後やりたいことに心を奪われている。

ハーフドームを見つめ、沈みゆく太陽がその切り立った壁画に急速に影を落としていく様子に見入った。冷たい空気が谷底を満たし、夜の匂いが私をピパークへ、そして眠りへと誘う。黒い鳥のイメージが夢の中でも舞い上がった。

朝、確信に満ちて目を覚ました。準備を終えたギアを掴み、ハーフドームの北西「レギュラー・ルート」へ向かう。頂の上空を雲が流れ、森の中にいる私は霧雨に包まれた。

感情が高まり欲望がみなぎるが、呼吸に集中し心を静める。水で磨かれたスラブへと足を運び、花盛りの過ぎたワイルドフラワーの原を通り、壁の基部へとたどり着く。

断崖のすぐ下まで歩み寄ったときには、その姿は霧に覆われていた。ルートの近くに立つと、あるパーティが壁の半分くらいの所を懸垂下降しているのが見えた。私はそこに座り、彼らが敗退していくのを見物し、そして水が描く黒い筋をたどりながらフェースの複雑さを見つめた。

雲は薄れ始めている。湿った岩の匂い、体内で上昇する熱、そしてそれが冷たい外気に触れて発する蒸気、岩壁を打つ嵐の音、そして「登る」という最も力強い本能に完璧に没頭した。

ハーフドームをソロでスピード登頂することは何年も考え続けてきたことだ。しかし手を伸ばし、ホールドを掴んだとき、私の心は全くの無だった。指が1つ1つのホールドをしっかりと掴み、私は恐れることなく岩の上を移動する。墜落というオプションは私の現実には存在しないからだ。

岩とのつながりのみに集中していた私は、6メートル横で懸垂下降している2人組のパーティにもほとんど気がつかなかった。彼らが発した聞きなれない言葉はそのまま宙に浮き、2人の姿は足下の霧の中に消えていく。好きな曲の歌詞「私は見えない、私は見えない、私は見えない・・・」を呪文のように繰り返し、心を静める。そして、大地を背後に置き去りにしていく。

壁の3分の2あたりにある日陰のチムニーから抜け出た。太陽が頂上を照らし、魔法のように雲が消えていくにつれ、私が抱いていた先行きの不安は消え去った。思わずカラスの鳴き真似のような叫びを喉から発し、そのまましばらく口を開けたままにした。

血管を通して生命が脈打つのを感じる。私は自信を持って不安定な核心部「ジグザグ」をよどろむことなく登った。シューズの裏は岩肌にぴったりと張り付き、指はどこに触れてもしっかりホールドを掴む。「サンク・ゴッド・レッジ」に這い上がると、私は目前に迫った「完了」の期待を押さえ、頂上を目指した。

ぐるりと周りながらできるだけ遠くを見渡した。沈む太陽の最後の光が背中を暖める。眼は自分の影に釘ぐけになった。そして、目の前の岩に映る自分の姿をたどりながら、翼のように腕を広げ、生きているという美しさの中に浸っていた。

ここから学ぶべき「賢人の知恵」とは何だろうか。
「経験とは致命的でない間違いの連続である」という結論に私は至った。できるだけ“遠く”を見渡せ。感情が高まり欲望がみなぎるが、呼吸に集中し心を静める、まずはそこから。


(以上"Entrance By The Flight Of The Raven",
by Dean Potterの日本語訳)

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