2004年07月07日(水) |
つづくための途切れと、落とされた読点の響きについて |
台所からお湯が出た。 ちゃんと青の方をひねったのになあ。 おかしい。 バンコクの安宿なら許すけど、 日本の住宅で受け入れてよいものか。 夏だからって笑ってよいものか。 お湯が沸くのが早いからいいけれども。 ちゃんと青の蛇口なのになあ。
うそじゃないよ、っていう、うそと ほんとじゃないよ、っていう、ほんと。 どっちも結局のところ、嘘ってことになってしまうんだろうか。 それだけが私の本当なんだろうか。 ただ、瞬間瞬間に正直でありたいと、思った。 忘れないようにしたいと思った。
いつだって誰かに謝りたいので、 なるべくそれを飲み込むようにする。 許されたいと思っているうちは、許されないのだろう。 私が私を許すということ、 私が私に、いいよっていうこと、 ねえ、がんばるよ。 私もがんばるよ。 気がつくといつも上を向いていて、 それはきっとこの町で一番、空が広いからなんだ。 息をしたいって思ったんだ。 もうすこし、目線の高さをやさしく見渡せるように、 いつかなれるかな、 目の前を歩く人の、スーツの背中とか、 ベルを鳴らす通りすがりの自転車の女のひととか、 ウォークマンの音に頼らなくても、 ちゃんと見届けて、歩けるようになれるかな。 母親がメロンを切って、私の分を取っておいてくれている、 父親が家族旅行の、まだ定まらない予定を立てて、私の休日を待っていてくれている、 ずっとさきに歩いている人たちが、 たぶん、ずっとさきに折り返し地点を通り過ぎる人たちが、 まだどこにもたどり着かない私の足を、待ってくれているって、 がんばるよ、きっと、一緒に心から笑える日が、来るんだよ。 ありがとう。
会社の近くは海のにおいがする。 雨でも夏でもない生き物の湿ったにおいがする、 たとえ透き通る青の、白い砂浜の広い広い海岸でなくても、 生活の中に海を感じられるのはとても新鮮で、 とても幸せなことだと思った。
七夕の日に晴れました。 だけど、地上が晴れでも曇りでも、 空の上では毎年、二人は会えていたはずだ、 宇宙はそのぐらいは、きっとやさしい。
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