2004年03月08日(月) |
明日の記憶に泣かないように |
わたしたちはいびつな ふちをなぞりあった とりとめもなく 水滴の つたい落ちるような おと と 指のはらに息づく ちいさな痛みを いのりのように
ちりちりと ひきつれて いるのでしょうね それは 目が見えなくてもかまわないとさえ おもう おだやかな ひかり で
増えつづけていく傷口に くちびるをあてながら それでも いつか すべての継ぎ目が せかいに踏みしだかれる前の まっさらな地平へと 還っていけばいいと おもう わたしも いて 叶えられたいのりが 移りつづける景色のあいまに とけだしてしまうように わたしの指さきも はじけて粉々になって 痛みとともに 過ぎていく彼方に 置き去られてしまうのだろうか、 と
ただ
わたしたちと呼んで 見ている景色さえ 定かではないのに わたしたちと呼んで ゆるやかに眠りが覆っていく たえまない 水滴のおと 終わりを知るまいと 閉じていくまぶたのうらに 指さきのひかりばかり ちらついて
眠りのふちを越えれば もう わたしたち も いないのに
あなたのいないせかいは こわいと おもった それは 終わり だから
たしかに あたたかい おだやかなひかり と
ちいさな痛みを いのりのように
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