2004年01月02日(金) |
あたらしいおわりのはじまり |
自分の好きなものを見たり、聞いたり、触れたり、食べたり、 そうやって選び取って摂取していく作業っていうのは、 やさしくなるためにするんだなって思った。 ひとにも、自分に対しても。 これいいなって思う、その瞬間にほんの少しできた、 自分、自分、自分でいっぱいの脳みその隙間が、 ちょっとだけあったかくなることを許してくれるような気がした。 だからそういうふうに、 選び取ったものをひとつひとつてのひらでなでていけるような、 頬擦りしてありがとうを言えるような、 そういう年にできたらいいと思った。 すこしずつ。
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今年のはじまりは初日の出を見た。 ほんとうの初日の出。すくなくともわたしにとっては。 ビルと、薄い雲の間から、赤い光が拡散して、 やがて丸い輪郭がのぞいて、それがほんとうの円になる。 昇っていくに連れて、狂ったような赤はすこしずつ正気を取り戻して、 やがてそれさえ失って白い光になる。 その過程。 を、ずっと見ていた。
それから、日の出の直前の空のグラデーション。 きちんと七色に分解されて、 赤、橙、黄、緑、青、藍、紫、って、 地平線から(実際にはビル群だけど)頭の真上に向かって移っていく。 緑色の空なんてはじめて見たよ。 そういうものが存在しうることを、初めて知った。
たまたま一緒に見ることになったひとが、 「ね、こういうのはほんと、一番好きな人に見せてあげたいよ」って言った。 わたしは、そういうふうに思えるということは、 その相手の人をほんとうに好きなんだな、と思った。 素敵なことだと思った。 わたしはまだ、わたしと手をつなぐことでせいいっぱいで、 目の中を風景でいっぱいにしながら、 自分の心臓を一生懸命こねくりまわしている気がする。 それでも。 広がる空と、その下で影絵になるビルや電線と、空を飛ぶ鳥と、飛行機と、 偶然見えた富士山のうっすらとした影と、 すべてがにじみだして、やわらかくて、うれしかった。
とても寒かったので、煙草を一本吸った。 初喫煙。 煙草は暖を取る作業にはならないなと改めて思ったけれど、 美味しかったです。
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こんな新年おめでたい日に、 こんな辺境の日記を読みに来てくださった方がいるとしたら、 感謝感謝です。
あけましておめでとうございます、 今年もどうぞ宜しくお願いします。
(名前の占いをしたら、本名の画数は最悪の運勢らしい) (絶対にうまくいかない人生らしい) (でも向いている職業は詩人らしい) (それが一番どうかと思うらしい)
小夜
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