2003年12月22日(月) |
くるしまぎれの水面で |
いつか わたしはすべてだった 液体と液体が混ざり合うみたいに 渦を巻きながら わたしたちははなしをした 粒子と粒子をこすり合わせて 熱を生んでは溶けあった やみがあって やみはどこまでもつづく穴のようなみちで かたちのないうでをどこまでも伸ばして 内壁に寄り添って旅をした べつのすべてにぶつかると わたしはぎゅいんとうでを縮めて みちのいりぐちに戻ってきた 感触をぐるぐるとからだに巡らして さざめいた温度がふたたび細胞にしみこむと もういちどうでを遠く伸ばして べつのすべてに会いにいった 粒子はひそひそと震えてはしゃぎ ちいさなひかりを時々生んだ やみはひかりにおどろきもせず まあるく抱きとめて頬ずりをした べつのすべてがくすくすわらって わたしはすこしあかくなって それからゆっくりもとに戻った
きみはつめたいね きみはあたたかいね ねえ さきっぽがふれてる くすぐったい? へいき ねえ くらいね くらくて まぶしいね ねむってる? おきてるよ つめたいね つめたくて あたたかい
するするとうでは蛇のように泳いで 敏感な触覚は波になってひろがる まえからもうしろからも揺れるこえにつつまれて けれど いつか は途絶えてしまう
ねえ どこかへいくの べつのかたちになるの どこへいくの どこか なにになるの しらない いってしまうの きみは すべて なのに
表面が枝分かれして 部品になっていく かたまりはじめたうでが 伸び縮みしなくなった すべてを分けて 高い塀がそびえて あかるい電球が吊るされた
さきっぽがふれてる まんなかがふるえてる ここは やわらかいね きみは とても
やみが あかりのまえから逃げ出して はなしが とぎれた
とても
さむく なった
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