いつ目が覚めたのだろう。 朦朧とする意識の中で私は何度も真に抱きついていた。 こうやってくっついていられるのも後少しだから。
真も私のことを抱きしめ返す。 ただ、何も言わずに。
そして、気が付くと、午前9時。 真は仕事があるのに、思いっきり二人して寝坊。 大慌てで身支度した真はばたばたしながら私の家を出て行った。
終わったな・・・ そう思いながら私は再び眠りについた。 うとうととしていたら、電話が鳴った。
?
真専用の着メロ。 何で? 空耳かと思いながら携帯を見ると確かに真からの着信。
何かあったん?
あのさ、昨日休んだから今日も休んでいいとか言われてん さっきなんかばたばたしててなんか嫌やんか 長居はしないから、もう1回会ってちゃんとお別れしたいけど、いい?
断る理由はなかった。
再度やってきた真と一緒にゆっくり朝ごはんを食べた。 ずっとくっついてた。
あのさ、なんかこれでお別れなのに、最後っていう気がしないんだよね
う〜ん、なんか私もそんな気が・・・
でも今回はちゃうで。 今度会う時は絶対にみりあちゃんが俺のことしか見てへんからな。 俺の直感な。ほんま。
・・・・・ん〜?
確かに真の直感と言うのはよく当たる。 今まで似たような会話があったけど、殆ど当たった。 「こうしたい」という意思とは裏腹な直感なのに何故か当たるらしい。 って、これも当たるんかいな。。。
俺のこと少しでも気になるんなら、俺のことを繋ぎとめておいてや。 嘘でもええ、俺と約束してほしいねん。 「いつかまた会える」ってさ。 俺はその約束を何年でも信じて待てる自信があるから。
うん、きっとまた会えるよ・・・。
昼になった。 用事を済ませてから少し会おうという翔からのメールが来た。 「彼氏とこれから会うねんな」という真の言葉が私に突き刺さった。
私は何をしているんだろう。 いったいどっちが私にとって大事な存在なんだろう。
さよならとかは言わへんで。 絶対にまた会えるから。
うん。きっと会えるような気がするよ。
別れ際にお互いに涙はなかった。 私はただ、真がびっくりするくらいにいい女になってやろうと漠然と思っていた。
余韻に浸る暇はなかった。 翔にメールをした。
用事っていつごろ終わるん?あんまり遅くなったら嫌やで〜。
そんなんわからへんよ。嫌って言うんやったら来なくてもええよ・・・。
どうしてこの人はこういう言い方するんだろう。 私の中に似た部分があるだけに余計に腹が立った。 真だったら絶対にこんなこと言わないのに。 私はただ、遅くなったら「会う時間が短くなって寂しいから」嫌って思っただけなのに。
こんなことをストレートに言っても翔には通じない。 待ってるから終わったら連絡してほしいとだけメールした。
ばかばかしい。 私は何をしてるんだろう。
その後、翔に会った。 確かに嬉しかったけど、テンションの低さをカバーするのに私は必死だった。 翔に悟られないように。 翔の腕の中に飛び込むのも一瞬躊躇っていた。
もう心配事はないはずなのにね。 迷うこともないはずなのにね。
一緒にいたときの真の言葉。 きつく抱き合っていたときの言葉。
今だけは、俺のことを見て、俺だけを愛して。
そう、確かに私は真のことを愛していた。 そのときだけだったのかもしれないけれど。
今は、私は誰のことを思って私は悩んでいるんだろう。
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