少しずつ夜が明けて来た。 まだ暗い中で真は床に寝てる。 夜も遅かったのであの後真を追い返すわけにもいかなかった。 床で寝るからと真は言い、私は別にかまわないと答えた。
居心地が悪い。
何回目だろうか、「距離をおこう」と言ったのは。 どちらからともなく出た言葉。
外の空気が吸いたくなって外に出ようとし、ドアの鍵を閉めたら すぐにガチャガチャと音がして、真が出てきた。
どこ行くねん
ちょっと外に下りてくるだけ。すぐ帰ってくるよ。
そう言って私は真を振り切って1階に降りていった。 うす明るい空を眺めていた。 コンタクトをしていなかったのでまともに何も見えなかったのだけれど、 私はただ空の色を感じていた。
しばらくすると、真が下まで降りてきた。 恐い顔をして、私の腕を掴んだ。
戻ってきて。あと数時間だけやから、俺と一緒におって。 お願いだから、俺を置いていかないでくれ。
こわばった表情のまま、私達は部屋に戻った。 そして、朝が来た。
何も話せていない。 不穏な雰囲気。 このまま別れてしまうのは嫌だ。 そう思っていたのは私だけではなかったようで。
今やったら仕事何とか休めそうやけど、どうする?
結局真は今日仕事を休むことになった。
いろいろ話をした。 話といっても特に重要なことも話したようには思わなかったけど。 ただその話の中で、言えること。
それは、今の状態で私達が一緒になっても誰も祝福してくれないということ そして、私も真も互いに甘えきってしまっていたこと 今の私の心は醜くなってしまってて、前の私とは変わってしまっていたこと それでも真は私のことが好きなこと だけど私は真のことを最優先にはできないこと
今日で、「今までの」私たちの恋愛は終わりだと、真は言った。
そのあと、私達は体を合わせた。
私の顔に真の涙が落ちてきた。 その涙は私の涙と混ざって私の頬を伝う。 きつく抱きしめあった。
何度も「好きだ」と言われた。 何度も「好きだ」と言った。
その気持ちに、嘘は無かった。
やっぱり私の言葉は信じてもらえないよね
みりあちゃんはこんなときにまで嘘つける子じゃないよ ただ好きな人が二人いただけだろう 今まで責任取れないって言えなかったんだろう
よかった。 通じてた。 嘘だと思われなかった。 それだけで、私は安堵し、再び涙が出てきた。
どうにかしてみりあちゃんを奪いたいよ 今でもそう思う。思ったらあかんのんやろうけど・・・
まどろみつつ、真は私が彼女になったらしたかったことがたくさんあったと言った。 たわいもない、些細なこと。 でも確かに彼女でなければできないこと。
せつない。 せつない。 聞いてるだけで胸が苦しくなって、息ができなくなった。 真はこの苦しみをいつも味わっていたのかと ただ、苦しかった。
たくさん話して、お互いすっきりしたらしい。 気が付いたら笑いあえるようになっていた。 明日の朝には離れることがわかっているのに、それでも一緒にいて幸せだと思う私がいた。
そう、この幸せは明日の朝までなんだ。
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