星降る鍵を探して
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2003年06月14日(土) 星降る鍵を探して2-3-4

 少し落ち着いて、新たに入り込んだその部屋の中を見回すと、そこはまだそれほど魔窟ではないことが窺えた。二日という短い期間では、さすがの長津田さんもこの部屋まで汚すことは出来なかったらしい。ここは簡単な給湯設備が備えられ、一人用の小さなテーブルと椅子が置かれ、仮眠用にか、壁際に長椅子が置いてあった。その下を覗き込んでみると、埃はほとんど見えなかった――宮前さんはとても几帳面な性格であるらしく、長椅子の下にまできっちりと掃除機をかけてくれていたようだった。
 ほとんど思考する間もなく、腹這いになってその下に潜り込む。
 床はつるつるぴかぴかしていてとても冷たかったが、走り回ったのと緊張したので体が火照っていて、今はこの冷たさが気持ちよかった。あまり長いことここにいると体が冷えて風邪を引いてしまいそうだが、そんなにここに長居する気はない。ひんやりと冷たい床に頬を押し当て、流歌は長々と息を吐いた。ここならそう簡単には見つかるまい。きりきりと張りつめていた神経が、音を立ててゆるんでいくような感触。硬直していた体中に血が巡りだしたような気分だ。昨日からの疲れが自分でも知らない内にたまっていたのだろうか。思えば昨日はいつ先生がやってくるかとドキドキしていて、一睡もしていなかったのだ。ほんの少し目を休めようと瞼を閉じただけで、流歌は眠りに引き込まれた。眠ろうとする体の欲求に気づく暇さえなかった。あまりにも深い眠りに一瞬で引き込まれてしまったために、その部屋の扉が開いて宮前が入ってきたことも、流歌は全く知らなかった。


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うーんどうも枚数配分が上手く行きませんね。
今日は理事会で出勤したのでコレくらいしか書けずおまけにこれで3節が終わり。なかなか話が進みません。


相沢秋乃 目次前頁次頁【天上捜索】
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