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■パソコン。鎮魂。
2004年11月03日(水)
嫁のパソコンがまた死んだ。

今年になって3度目である。症状は皆同じ。
ハードディスクが認識されなくなってしまうのである。

その都度DELLのサポートに電話し、ハードディスクの交換を
してもらったのだが、最後の交換からまだ1ヶ月ぐらいしか
経っていない。

電源を入れても「DELL」のロゴマークが出ているだけで
ちっとも次の画面に進まない。僕は

「お前はもう死んDEぃLL…」

北斗神拳伝承者のように呟くしかなかった。嫁は

「まったくもう!何度も何度ももう嫌だ!
 ちゃんと直して返して欲しいわ!」

とおかんむりである。確かにそう思う。おざなりな修理だけで
済ませているのではないか、とDELLへの不信感が高まった。
DELLのサポートは顧客満足度でナンバー1だと宣伝している。

確かに対応は早いと思う。しかし故障自体は多く、そして
修理してもまた故障しやすいようにしている…

というわざとマッチポンプなことをしているんじゃないか…
一度不信を抱くとどんどんダークなことしか考えなくなってしまう。
 
「よし、僕が一度ガーッと電話してみるよ。
 部品交換じゃ埒があかないから新品と交換しろ、と」

「そんなことできるのかしら」

「1度ならずも3度目だぞ!僕がビシッと言ってやる!」
 
「確かに女だとナメられることもあるから、
 それじゃあアナタ電話お願いね」

そういうことになった。同じ故障が3度目である。多少怒っても
いいだろう。おたくのサポートは節穴か。またハードディスクの
交換とか同じこと言われてもそれでは納得しかねる。その対応では
解決できてないではないか。

僕は新品と交換させることを目標に交渉することにした。
大上段に構えてゴネまくってゴネ得を目指すのだ。
ワイルドに、そしてバイオレンスに。

…と思ったのだが

「はい。DELLサポートセンターの○○と申しますぅ。
 どうもこんばんは。よろしくお願いします」

ものすごく腰の低い、眼鏡かけてて顔色が悪そうなイメージが
湧いてくるひ弱そうな声の人が出たので

「あ、どうもよろしくお願いします」

ワイルド&バイオレンス路線は初っ端から脱線してしまった。
我ながらヘタレ。

「お客様の履歴を見させていただきますと、確かに
 同じ故障が頻発にありますね…あああ本当にすみません」

サポート人が申し訳なさそうに語るので

「そうなんですよう。その度にデータまっさらに
 なっちゃうんですよう。お願いしますよう」

僕もワイルド&バイオレンスどころか直訴する農民の
ような感じになってしまった。サポート人は続ける。

「今調べてみましたら、DVDドライブがおかしいと
 こういった故障が起きることがあるようです。ですので
 DVDを交換させて頂たいと思うのですが如何でしょうか」
 
これは今まで言われたことがなかったことである。
さては真の原因が見つかったか。しかしこれだけでは
僕は安心できないので

「ホントにそれで直りますか。実はもう丸ごと新品に
 取り替えてもらいたいぐらいなんですけど…」

こんな言い方じゃゴネ得も期待できないよ、と
我ながら思う下手な言い方で、それでもこちらの
最大の要求を伝えたところ

「すみません。まずDVDの交換を試させて下さい。
 その他についても私から今まで以上によく見させる
 ように指示しますので…」

と言うではないか。それじゃ何かい、やっぱり今まで
よく見てなかったのかい、とも取れるではないか。

ここで一転し、ワイルド&バイオレンスに
「ふざけんじゃねー全部とっかえろ!」と怒りを
露わにすればゴリ押しできるのでは…と怒る間合いを
計っていたのだが

「すみません、本当に、私が責任を持って…」

サポート人はもの凄いひ弱な声で謝る。
これ以上無理な要求を押し付けると、彼が裏で
親方にムチでぶたれそうな悲愴感が漂ってきたので

「ではお願いします…」

僕は受け入れ、電話を切った。ひとまずこれで様子を見よう。
しかしまた直っていなかったらどうするか。

今度こそゴリ押ししてやるんじゃあ。
と荒々しい男弁で怒鳴りつけてやるんじゃあ!
わしゃあ男じゃあ!

どんなっとんじゃワレえ!この落とし前どう付けて
くれんじゃあ!ガタガタ抜かすようだったら

DELLとこ出たっていいんだぜ!

電話口を離れるとワイルド&バイオレンスな僕であった。

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