モザ無し

バイト中、「借りたAVでパッケージに『丸見え、モザイク無し』と書いてあったのにモザイクが入っていたんですが」というクレームの電話を受け付けた。んなまさか?!と驚きながら、「えーと…モザイク無し…。うーーーん…そうですねえ…、レンタルビデオでモザイクのない物は無いはずなんですが…」と苦悩しつつ返答した。御不満であれば返金・交換致しますがと次に言うつもりだったが、相手が「そうですか」とあっさり折れてしまったので言うタイミングを逃した。相手はあたしの返答を待たず話を変え、今度は「あのー、フェ●チオしてくれるビデオってありますか?」と聞いてきた。あたしは答える。「フェ●チオですか?あー、確か『フェ●チオコレクション』とかいうのがあったかと思いますが。」相手は言う。「聞けば教えてもらえますか?」「そうですね、詳しい者がいればすぐにご案内いたしますが。」とあたし。

そこまでは何の疑いもなく真面目にに対応していたのだが…今振り返ればなぜ気付かなかったのだろうか。

相手は急に、「フェ●チオしてほしいんですけど」と言い出した。最初は早口でわかりづらく、思わず「は?」と聞き返してしまった。もう一度今度はわかるように、「フェ●チオしてほしいんですけど、してくれませんか?」「……………私がですか?!」しまった冷やかしか!とやっとで気付いた。が予想外の展開に頭は混乱。取り乱してはいけないとやっとの思いで搾り出した返答が、「んーーー、業務に関係ないのでちょっとできないですねぇー。」あくまで冷静。けどもう内心冷や冷や。心臓バクバク。「フェ●チオしてほしいんですけど、ダメですか?」「フェ●チオしてくれないんですか?」と相手。「んーええ、業務に関係ないのでできないですねえー、はいー。」もうそれ以外思い付かない。「そうですか」とやっとで開放され、どっと疲れを覚えた。手元のメモに目をやると『丸見えモザイク無し』『フェ●チオ』とキーワードがきちんと書いてあり、何でこんな言葉書いてんだ…と悲しくなった。

その日の帰り(深夜3時)、店を出たらあるはずのマイ自転車が無かった。パクられたかなと半ば諦めながら店周辺を仕事仲間と一回りすると、別ルートを探してた人達が見つけてくれたのはいいが、あったのは胸の高さまであるサクの向こうのかなり低い位置にある田んぼに不自然に落ちている自転車。数台あるのにあたしのだけ…。その日は他全員男だったから降りて引き上げてくれた。

心辺りはないこともない。ちょうど前日のバイト帰りにバイパスの向こう側の歩道から狂ったように「おねーさん、おねーさん!」と何回も叫んでいた男がいた。頭がおかしいんじゃないかと無視して帰った。それに道を聞いてきた男もいた。最後結局ナンパになり、今から何か奢らせて→疲れてるから帰りたい、番号教えて→携帯忘れたからわからない、それでそいつの番号を紙に書いて渡されたはいいが、電話しなかった。この土地には知り合いも少なくあまり深く関わってもいないし、ナンパ無視したり断りきれなくて教えたけど電話出ない事以外、怨まれる覚えがない。サクより上に持ち上げるのに力いるから女とは考えにくい。自転車はオレンジ色で目立つっちゃあ目立つが、よく見かけるし悪戯したくなるほど珍しくはないただのママチャリ。お手頃な中国製。
2004年05月05日(水)

にきにっき / にきーた