紫の生活

春宮 mail home

タクシー
2008年10月15日(水)

 以前は、泥酔するとよくタクシーをひろったものだが、ここ数年、めっきり使わなくなった。その代わり、始発が出るまで飲むのである。もっとも、始発まで飲んで後悔しなかった試しはない。けれども、始発まで飲むと決意するそのときは、最高にいい気分である。だが最近は、始発まで飲むと決意するそのときに、すでに後悔している。

 少し前、仕事でタクシーに乗らなければならなくなり、ビルの前で客待ちしているタクシー群に近づいていった。運転手たちは、外に出て、空を見上げている。車内で居眠りしているのもいるが、ほとんどは、外に出て、空を見上げている。私が近づいていっても、しばらく気づかない。
 別に、日本がのんびりしたいい時代になったわけではない。彼らは、煙草を吸っていたのである。同情せざるを得なかったが、彼らにとっては、客に「吸うな」という方がさらに苦痛らしい。しかも、禁煙宣告をして、ヒステリックに怒るのは、断然女性が多いらしい。




back   next
index


My追加