人生事件
−日々是ストレス:とりとめのない話 【文体が定まっていないのはご愛嬌ということで】
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そこまでされなきゃいけないことを、彼はしたんだろうか?
顔の見えない、ネットでの出会い。 言葉と言葉のやり取りだけで、人は誰かに好意を持たれたり、自ら恋に落ちたり。相手の自己申告した容姿を信じ、職業を信じ、家族構成を信じ、そして、「付き合う」ことになったり。 だけど別に、昨今、そんなの不思議じゃない。珍しくない。
でも、現実に会って、話が違うとか、この容姿じゃ中身云々の問題じゃない、ということも出てくるとは思う。やっぱり見た目というのは、大事だ。十人が十人「この人は好感持てる美人だ」と言い切れる人はあまりいないし、十人が十人「この人とは付き合いたくないほど細工が悪い」と言い切るような人はいないと思う。 それぞれ、やはり人にはそれなりの好みというものがあって、「タイプ」とは違う、「この人は容姿と中身をトータルしたらOK」っていう容姿と中身の好けるラインが必ずあるのだ。
だから、ネット上では激しく燃えた『会話での出会い』が、実際に会って、顔を合わせ声を聞き話を聞き、『現実ではだめだ』に変わるのは仕方がないのだ。1度だけ会って、だけどもうそういう理由で2度と会えない、会いたくない、という感情を持つことを、責めることはできない。 ネットで好意を持って『この人に会ってみたい!』と思うことと、エッチだけが目的で『会いたい』と思うのは、全然違う。後者ももちろん多いが、前者だって多いはずなのだ。これだけ、素人ユーザーが増えた今では。 エッチをするという下心だけを持っている人と出会うよりも、ある程度の『本気』を抱えた人との出会いの方が怖いと思う。相手に対する夢も、それなりに持っているし。
彼の会社の後輩(20代半ば)は、とあるバーチャルタウンで出会った女性(20代前半)と、先日実際に会った。大阪から山口まで、仕事を1日休んでまで会いに行った。 彼は、決して周辺で彼女を見つけられないような容姿の人でも、中身の人でもなかった。私も写真を見せてもらったが、なかなか格好よかった。携帯電話のメールのやりとりも何度かしたが、ノリがよくてよかった。彼情報によると、ここ2年程の間、何人か彼女がいたらしい。
だから、ネットで彼と出会って好意を持ち、実際に会って彼を手放したくないと思った彼女の気持ちは想像つく。 だけど、彼女のことを「そんなにかわいくありませんでした。実際の会話もいまいちでした」と言い切った彼が、彼女と連絡を取るのを止めようとしても、責める要素はない。 そう、初っ端から寝ていなければ。
彼は、「付き合う」云々の話の出る前に彼女と会って、交際するかどうかを決めようと思っていたらしい。なのに、そんな話が出る前に女に誘われるままに、寝た。彼女は処女だった。
同意の元だったんだからいいじゃない、と私なんかは思うのだけれど、彼女の場合はそうではなかった。彼女はきっと、彼を縛るために彼と寝たのだ。その目論見は外れた。彼は処女かどうかなんてこと、関係のない人だった。 後日、「特別には付き合わない」ということを告げた彼に対し、彼女は報復を考えた。同じバーチャルタウンなどで「彼はやり逃げするひとだ。乗り逃げする人だ」と涙ながらに言いふらし、とうとう彼のHPの掲示板におかしな男からの書き込みがあり、そして。
彼の携帯電話のメールアドレスと、電話番号の下4ケタと、住所の番地が、 『女を騙して逃げる奴のホムペ』『中途半端な事しまくってるみたいじゃねぇの?』 という言葉と共に曝された。
自分の浅はかさを棚に上げ、そんなことをした彼女のことが分からない。この掲示板書き込みの男が本当に第3者なのか、それとも彼女にネット上で惚れている男なのか、彼女自身なのかは私には分からない。
後輩の彼がしたことを、いいこととも悪いこととも言い切れない。性のあり方を考えさせられた例ではあるが、ネット上で個人情報が流されるほどのことを、彼ひとりが悪役をかぶるほどのことを、彼はしたんだろうか?
ひとり咲きした恋は、人を狂わせる。
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