人生事件  −日々是ストレス:とりとめのない話  【文体が定まっていないのはご愛嬌ということで】

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2002年09月28日(土) 訪れていた秋に、私から歩み寄った午後

今日は、金木犀の花を探していた。

今週の頭頃だっだと思う。朝、駅に向かう道の途中、金木犀の香りが鼻先を掠めた。それから毎日毎日、金木犀の花の香りは空中を漂っていた。その香りを感じるのが、私の日課になりつつあった。

金木犀は少し強めの香りを放つ花で、よくトイレの芳香剤に使われている。だから、金木犀の香りを嗅ぐとトイレを連想する人が多い。実際、一軒家だとトイレのすぐ裏に金木犀を植えたりしている。
だけど、本物の金木犀は臭さを消すことを目的としている匂いの強い芳香剤とは違い、もっとやわらかでやさしい、甘い香りだ。

その香りが、どこから漂ってくるものなのか、朝の忙しい通勤途中にはわからなかった。帰りも帰りで疲れていて、スーパーの袋を下げた姿では、香りを頼りに樹木を探すのは無理だった。

午後になって、昨日から降り続いていた雨が上がった。外に出ると、雨上がりの、水気を多く含んだ空気の中、金木犀の花はふんわりと香っていた。匂いの強弱を頼りに、私は歩を進めた。
深く吸い込む空気は、とっても冷たかったけれど、ここのところささくれ立っていた気持ちを、落ち着かせてくれた。

でもよく考えてみれば、金木犀はあっちこっちの家にある、ポピュラーな樹木だ。この、私がいつもかいでいる香りも、ひとつの樹からのものとは限らない。
だから、金木犀探しの旅は、お散歩になった。

コスモス、百日紅、曼珠紗華、ブルー・レッド・ホワイトサルビア、ススキ。
秋の花が、あちこちに咲いていた。


佐々木奎佐 |手紙はこちら ||日常茶話 2023/1/2




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