人生事件  −日々是ストレス:とりとめのない話  【文体が定まっていないのはご愛嬌ということで】

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2002年09月06日(金) 激昂した夫、泣き出した妻、ケンカの後は・・・

ガチャーンッ・・・と、ガラスの割れる音が闇の中、響き渡った。

昨晩22時前後、男の人の怒鳴り声がして、次いでガラスの割れる音、物を落とす音が聞こえた。あらあら、何事よ?と、すぐに耳を澄ましてしまった私。女の人の「やめてよ!」って悲鳴が上がった。
窓の外から聞こえる会話をよく聞いてみると、真下のお部屋のご夫婦が、けんかし始めたようだった。暑いので、私も窓を開け放しだったが、下のお宅も窓開放状態のようだった。
5月下旬から今のアパートに住んでいるが、私の知る限りでは下のご夫婦がけんかする場面は初めてのことで、私は窓の傍にいざり、そこで息を詰めてじっと座り込んだ。
このご夫婦はとっても若い。成人はしていそうだけれど、私とそんなに変わらない感じだ。そして、1歳に満たないお子さんがいる。それくらいしか知らない一家だったのだけれど。

怒鳴り声が聞こえたそのとき、私は鏡に向かって舌を出したりしていた。切ったばかりの髪形に慣れず、鏡を見て髪型の確認していたのだ。自分の世界に没頭していたのだ。だから、ガラスの割れる鋭い音にめちゃめちゃビックリして、かなら大きくビクッと身体を震わせてしまった。あやうく舌を噛んでしまうところだった。
ご夫婦間の赤ちゃんは、やはりその音に泣き始めた。私も乳児だったら、間違いなく泣いていただろうと思う。

最初は旦那さんが怒っていた。「お前が聞いてないから」とか言って怒っていた。ところが、このひと言から形勢逆転。奥さん、「『お前』って言わないでよ!!!」と猛反撃開始。まさに、逆切れか、って勢いで言葉が出る出る・・・。そのうちに、赤ちゃんの泣き声も旦那さんの声も聞こえなくなり、奥さんの声だけが聞こえ、それが次第に涙混じりの声になってきた。
「×ちゃん(旦那の名前らしい)のことが心配だから、言ってんじゃん・・・具合悪いのに仕事行って、結局悪化してんじゃん・・・私は止めたのに」
どうやら、旦那のことを気遣った妻心と、家庭を支えようとする夫心がすれ違ってしまった結果のけんかのよう。
それから、奥さんの声が嗚咽になった。旦那さんは泣き出した奥さんに何か声を変えているようだったが、その声は小さくて聞き取れなかった。
そのうち、窓の閉まる音がした。もう、何の音も聞こえなかった。

怒鳴り声から無音になるまで、約15分。
犬も食わない夫婦喧嘩はすぐに終結を迎え、なんだか消化不良に残された私は、早々に寝ることを選んだ。

なんでけんかの後すぐに窓を閉めたのかなんてこと、私、考えない。


佐々木奎佐 |手紙はこちら ||日常茶話 2023/1/2




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