人生事件  −日々是ストレス:とりとめのない話  【文体が定まっていないのはご愛嬌ということで】

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2002年08月12日(月) 私を好きになった先生

先生、お元気ですか?

昨晩、寝る前布団の上で今までに自分が好きになった人、自分を好きになった人を思い出していた。
私は決して美人でもかわいいわけでもないけれど、それなりに社交的なので、付き合ってくれと言ったこともあるし、付き合って欲しいと言われたこともあるし、お付き合いしたこともある。
私を好いてくれた人の中で、一番どう対応したらよいのか分からなかったのは、高校時代に私に惚れてくだすった化学教師だ。
彼は当時30歳目前の独身者で、私は17歳の小娘だった。彼とは放送委員会と生徒会で、顧問と委員の関係だった。話の分かる先生だったので、割と仲のいい方だった。
そんな彼が、いつしか私に惚れたらしい。私だけが暢気にそれに気付かず、彼が足しげく私のいる場所に出没する訳を知った周囲に、娯楽を与えていた。我が親友のカエはそれを知っていながら、皆のため、鈍な私には黙っていた。
彼は食べ物好きな私におやつを「差し入れ」と称して持ってきてくれたり、委員会のあった日は、学校から駅まで一緒に帰ったりした。そんな関係だった。
結局、私と彼はくっつくことはなかったのだけれど。

「佐々ちゃん、俺ね、家を買ったんだけれど」
そんな話をされたのは、確か制服が半そでだった時期だったと思った。
「へー、じゃあ、あとはお嫁さんですねえ」
「佐々ちゃん、真面目な話、うちにこない?」
私、絶句。その頃の私は純情だった女子高生だったので、先生の言葉をうまくかわせず、泣きそうな顔で彼を見返してしまったと思う。
彼はそれを冗談にできるくらい、大人だった。
今頃、彼は結婚して嫁さんがいてお子さんがいるんだろうか。幸せな家庭を築いているんだろうか。少なくとも、私と一緒にいるよりはずっと幸せな人生歩んでいると思うのだけれど。

あの頃の私の純情は、何処へ行ってしまったんだろう?
なんだかとっても世知辛い、昨今。


佐々木奎佐 |手紙はこちら ||日常茶話 2023/1/2




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