人生事件  −日々是ストレス:とりとめのない話  【文体が定まっていないのはご愛嬌ということで】

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2002年07月28日(日) 青天の霹靂で複雑気分

昨晩、友だちがふたり、泊まって行った。

短大時代に出会った友人たちで、某共済病院整形外科ナースと某県保健師。短大4人組のうちの3人。3月に銀座で会ったきりだったので、久々の再会だった。
お昼過ぎに私の住んでいる地域で待ち合わせして、夜は、昼はすし屋で夜は飲み屋という、我が地元の人お勧めの魚介のおいしいお店。そんなところに行った。
自慢ではないが、たいして酒に強くない3人組だったので、2時間くらいで3人分のコップの数は5つ。しかも、生中1杯にあとはサワーという、アルコール度の低かった私たち。
生の魚介を堪能し、オーダーミスで来たお味噌汁をおいしくいただき、私たちは帰って来た。私のおうちに。お泊りお遊びだったので。

で、今度は部屋で麦茶飲みながらテレビを見ていた。
「明日どこに行くー? 車でもレンタしよっかー」なんて話をしながら。
そこで、友人のひとりが思い出したかのように発言した。

「あー、11月の上旬にさ、結婚式するから受付お願いするわ」

私ともうひとりの友人、絶句。
ふたりとも、彼女が彼氏と「結婚したい」とも「婚約した」とも聞いていなかったのに、突然の告白。というか、命令。

「・・・婚約したんだ」
「うん、これ、婚約指輪」

胸元のネックレスに通してあった指輪を指差し、彼女は笑った。
小さなルビーに細い金だった。

「・・・それ、いくら?」
「1万3千円くらい。だってさー、指輪にお金かけるくらいなら、もっと他に使うよー」

ちなみに、彼女はスターウォーズの大ファンで、初期のガンダム好きで、映画オタクで、漫画が大好きな人だ。彼女の部屋はDVDやらビデオやらフィギュアやら本やら画集やら同人誌やらで埋め尽くされている。
そんな趣味のお陰で、彼女は下手な男と付き合って金を使うくらいなら自分の好きなことに金は使う、男を見つける暇があったらアニメイトに行く、夏休暇はコミックマーケットの為に取る、という主義だった。
そんな彼女に、昨年、彼氏ができた。彼女の母親の友だちの息子さん、29歳を紹介されたのだ。彼女が24歳のときのお見合いだった。
彼は、彼女の趣味についていける男だった。彼自身も美少女ゲームが好きだという、ちゃんと趣味を持った人だった。
だから、彼らはとっても気が合ったのだと思う。だから、交際1年経ないで結婚にいたることになったのだと思う。

一応、おめでとうとは言っておく。しかし、私は内心複雑だ。
料理のできない彼女を、どうして手放しで彼のところに嫁にやれようか。結婚祝は、まな板と包丁、それからお料理1年生ブックに決まりだ。
いや、根本的な複雑気分はそこにあるのではない。
身長170台後半、体重120kgの大柄の彼を、どうやせさせるかだ。
いや、これも違う。
本音は、初めて付き合った男と結婚できる彼女がうらやましいのだ。軽くやっかんでしまっているのだ。

だから、「うらやましいなあ」とちゃんと伝えた。黙っているのは、なんかよくないと思ったから。

だけど、彼女からすれば、私の人生の方がうらやましいものだという。
学生時代から彼氏と呼べる人がいて、その後もぽつぽつ引っ掛けてはデートしたりしている。身体の付き合いとしては1人しかいないが、色々な経験はしているだろうと彼女は言う。
確かに、言われてみればそのとおりかもしれない。だけど、私は初めての人と25歳で結婚できる彼女がうらやましい。付き合っている人がいても、私の春はどこにあるのかわからない。

しかし、もっとも痛かったのは、もうひとりの友人の言葉だった。
「私なんて、26歳になったのに、まだ男いないよ・・・」
私たち、4人組の中で一番かわいい彼女。なのに、出会いがなくって、殿方とお付き合いのしたことのない彼女。うちの母でさえも、何故彼女に男ができないのかといぶかしむほどで。

「だ、大丈夫だよ・・・こんな、偏った趣味の女でも結婚できる世の中なんだから・・・」

妙齢の女4人組のうちの本日不在の女も、初めて付き合った男と現在半同棲中だという。
私たちもお年頃になってしまったんだな、とちょっとだけがっくりしょんぼりぼんやり遠い目になった。


佐々木奎佐 |手紙はこちら ||日常茶話 2023/1/2




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