2016年01月29日(金) |
日本プロ野球2016シーズンを展望する(セリーグ) |
日本プロ野球(NPB)のキャンプインが間近だ。各球団は来るべきシーズンに向けて戦力を整え終わり、外国人選手も続々と来日を果たしている。まずはセントラルリーグの順位予想をしてみよう。
昨シーズン、「ヤクルト優勝」は予想できず
昨シーズンの順位は以下のとおりだった。 (1)ヤクルト、(2)読売、(3)阪神、(4)広島、(5)中日、(6)DeNA
筆者の予想は、1-広島、2-阪神、3-読売、4-ヤクルト、5-DeNA、6-中日、であったから、外れだった。読売の優勝はないものと思ったが、「ヤクルト優勝」は予想できなかった。昨年書いたことだけれど、2015シーズンの「広島優勝」は、希望・願望であって、戦力的に圧倒的優位にある読売以外で、ではどこが優勝する可能性が最も高いかという選択の結果であった。読売が優勝できなかったという結果において、筆者の願望は満たされた。
2016シーズン、「読売優勝」は鉄板
今年は、残念ながら筆者の願望を満たす要素は他の5球団においてまったくみいだせない。つまり、読売の優勝は鉄板に近い。
監督の世代交代完了
セリーグ全般のトレンドとしては、監督交代が挙げられる。2015シーズンに緒方(広島)、真中(ヤクルト)が監督に就任し、続いて2016、読売(高橋由)、阪神(金本)、DeNA(ラミレス)と新監督が続々と就任した。選手兼任だった谷繁(中日)も監督専任となり、監督の世代交代が一気に果たされた。ヤクルトが監督交代で一気に優勝したことがこの流れを加速させたものと思われる。指導者経験皆無の高橋由、金本(解説者経験はあるが)の監督就任については不安が払拭できない。前出の優勝は鉄板と断言した読売の唯一の不安材料は、新監督の力量ということになる。
戦力の整備果たした読売
戦力面をみると、その読売は、昨シーズン終了とともにベテラン・外国人選手の整理に着手した。高橋由(外)、井端(内)、金城(外)、久保(投)、青木(投)、フランシスコ(内)、セペタ(外)、カステヤーノス(外)を退団させた。妥当な措置だろう。
補強としては、FA入団が西武から出戻りの脇谷のみ。その代り、外国人としてクルーズ(内・ロッテ→)、ギャレット(外、一・ヤンキース→)を獲得。これで読売が契約している外国人選手は、マイコラス(投)、ポレタ(投)、マシソン(投)、アンダーソン(外、一)、メンドーサ(投)と併せて7人に膨れ上がった。メンドーサの一軍定着はないものとしても、6人である。外国人登録は4人までだから、必然的に2選手は二軍。実績では新外国人のギャレットが一軍でそのスペアであるアンダーソンが二軍。内野のクルーズは井端の代わりだから一軍。マシソンは貴重な中継ぎだから一軍。先発のマイコラスとポレタが登録、抹消を繰り返すといったイメージだろう。新戦力のギャレットが日本の野球に馴染まなければ、アンダーソンが代わりに一軍定着か。
余剰気味の外野は昨年同様、分厚い戦力を維持している。ギャレット(左)、立岡(中)、長野(右)もあるし、ギャレットが一塁にまわった場合は、亀井が左翼で先発となろう。さらに、大田、堂上、橋本、松本(哲)と他球団ならレギュラークラスが控えである。
手薄だった内野陣だが、ギャレット(一)、クルーズ(二)、村田(三)、坂本(遊)で豪華な布陣が完成する。三塁の村田が不調ならば、片岡(二)、クルーズ(三)で修正。一塁のギャレットがダメな場合は、アンダーソン(外)、阿部(捕)、堂上(外)、亀井(外)が穴を埋められる。
先発投手陣は、菅野、マイコラス、高木勇、田口、ポレタ、大竹寛、桜井(ドラ一)が揃った。ベテランの内海、小山は+αと考えられる。抑えは澤村、セットアッパーは昨年不調だった山口、マシソン、さらに、戸根、高木京、宮國、田原、昨年ケガで休んだ西村の復調もあり得る。公文、平良の台頭も考えられる。読売の投手王国は健在だ。
ウイークポイントの捕手陣は、阿部の復帰が決定的。キャンプで体力に問題がなければ、開幕先発捕手は阿部となろう、控えは相川、小林、加藤、実松で昨シーズンと変化なく、戦力としてはかなり落ちる。阿部がどこまで捕手で頑張れるかが読売の命運を決する。
ヤクルト、阪神、広島は戦力を大幅ダウン
他球団はどうだろうか。優勝したヤクルトは絶対的クローザーのバーネットが退団。セットアッパーのオンドルセクは残ったものの、新入団のデイビーズ、ぺレス、ルーキの3投手は未知数。野手では外野手の坂口(オリックス→)、鵜久森(日ハム→)が加入し、故障気味のバレンティンの代わりの左翼のポストが戦力アップした。
とはいえ、ヤクルトは選手層が薄い。昨シーズンはバレンティン以外のレギュラー陣に故障者が出なかったが、山田、川端、畠山、雄平のなかでだれか一人が長期離脱したら、大幅な戦力ダウンが免れない。結論として、ヤクルトはバーネットの抜けた穴が埋まらないとみた。
阪神もクローザーのオスンファンが退団。出戻りの藤川が穴を埋められるか。先発投手陣は駒が揃っているが、中継ぎ、抑えが不安。加えて、読売同様、ここも捕手に不安が残る。首脳陣は梅野に期待しているようだが、筆者は梅野の投球の組み立て方に不安を感じている。野手ではマートンが退団しヘイグ(一、三)が入団。弱かった三塁の補強になったが、外野が福留、大和、江越では心もとない。ドラ一の高山が入団一年目でレギュラー定着なるか。いずれにしても戦力アップの材料が乏しすぎる。
広島の最大の弱点は緒方監督。采配にキレがない。序盤から送りバンドを多用したり、そうかと思えば無謀なヒットエンドランや単独盗塁を企てたりと、焦りが目立つ。打者を信頼して、じっくり打たせて大量得点を狙ってほしい。戦力としてはエースの前田がMLBに移籍して大幅ダウン。抑え候補としてジャクソンが入団したがNPBで通用するかは未知数。中崎は安定感に欠ける。先発の柱となる黒田は昨年のNPB復帰騒動で燃え尽きた感がある。どうみてもAクラスが精いっぱいだろう。
中日、DeNAはBクラス確定か
中日、DeNAはBクラス確定だろう。両チームとも先発投手不足。中日はベテランの退団により、打撃陣が手薄に。とくに外野手不足は深刻。平田、大島、新外国人のビシエド(控えに藤井、ナニータ、多村*育成=DeNAから移籍)では長いシーズンを乗り切ることは難しい。
読売が独走する?
結論として、順位は以下のとおり。
(1)読売、(2)ヤクルト、(3)阪神、(4)広島、(5)DeNA、(6)中日
今シーズンのセリーグは1強5弱、しかも2位以下はかなり流動的。ヤクルト、阪神、広島のどこがAクラスに入るのか予想できない。戦力が整備された読売が、大差でシーズンを制するのではないか。
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