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2015年03月15日(日) 故障者続出――問われる読売の選手健康管理

◎内海、沢村が開幕間に合わず

「新成」を掲げた読売が開幕前に非常事態に陥った。投手陣ではベテラン内海及び今季抑え候補の沢村が故障。昨シーズン終盤にリタイアしたエース、菅野も筆者の目から見れば本調子ではない。肘が下がり、外角に小さく曲がって落ちる変化球に頼った投球で、このままならシーズン途中でダウンするだろう。

◎主砲、阿部の体調は60%程度ではないか

打者では今季捕手から一塁にコンバートされた阿部がキャンプ中に故障した。14日のオープン戦に一塁で先発したが身体はきれていない。アンダーソン、長野、矢野が昨年受けた手術等の影響でオープン戦にいまだ出場していない(2015/03/14現在)。プレシーズンで好調だった育成から選手契約した堂上、「四番候補」大田が故障で開幕は無理。故障ではないけれど、村田が極度の不調で開幕に間に合うかどうか不明という。

◎故障者続出でもそれなりのオーダーが組める読売

読売以外の球団ならまともにオーダーが組めない状況だが、今の戦力でたとえば、1-坂本(遊)、2-井端(三)、3-亀井(一)、4-セペタ(左)、5-高橋由(右)、6片岡-(二)、7-橋本(中)、8-小林(捕)、9-○○(投)、といった具合に、他球団に劣らぬ先発オーダーが組める。分厚い選手層を誇る読売なればこそといったところか。

控えは、内野=中井、寺内、片岡、藤村・・・。外野=松本、金城、隠善、鈴木(代走)・・・。捕手=相川、実松・・・。投手陣=先発/菅野、大竹、小山、西村、高木(勇)、ボレタの6本柱。ブルペン/マシソン、山口、香月、高木(京)、田原、青木、笠原、戸根、マイコラス・・・

ざっくりと挙げてみたところ、他球団とほぼ互角の戦力だ。シーズンが進むうちに阿部が完治し、アンダーソン、長野、大田、矢野、堂上が復帰し、先発投手陣のベテラン勢が復帰したら、選手層からいえば読売の優位は動かないように見える。

◎ベテラン勢はけっきょくは下り坂

筆者は――常々当コラムで書き続けていることであるが――ベテラン勢の故障が癒えても、彼らの力は下り坂にあり、それほどの活躍は期待できないと思っている。そればかりではない。いま現在元気な高橋由は腰痛の持病があり、井端は超ベテラン、片岡も昨シーズン末に故障した。彼らはフルシーズンは無理。ベテラン勢は、いつつぶれてもおかしくない存在のだ。

◎大田、中井はせいぜい2割5分の才能

読売が「新成」のスローガンをわがものとするには、中井、大田がブレークする以外ないのだが、この二人のバッティングの才能は、どう甘く評価しても2割5分がやっとだろう。

大田の弱点は(以前書いた通り)外角の変化球。打てる球は真ん中低め及びやや外よりの高め。しかも球速は140キロ以下と狭い。この範囲なら直球、変化球のどちらでも対応できるが、それ以外はバットが下から出る悪癖が修正できず、空振りか凡打に終わる。インハイ、アウトローはどんな打者でも打ちにくいが、なによりも、外角のボールになる変化球を見極めるバッティングアイを持ち合わせていないので、ボール球で打ち取られるケースが多い。

中井も大田と似たタイプで、アウトサイドに変化する球には目がついていかない。この二人にはフォーク、チェンジアップ、外に大きく変化するスライダー(あるいはカッター)が有効となろう。

◎昨シーズンと変わらない戦いぶり(消耗戦)になる模様

読売は自らが掲げたスローガン、「新成」とは真逆の状態で開幕を迎え、そのままシーズンを終了するだろう。別言すれば、昨シーズンと変わらぬベテラン頼りのシーズンということ。調子のいいベテランがしばらくレギュラーをはり、不調もしくは故障になると、厚い選手層を活かして別のベテランがレギュラーの座に就くという戦法だ。つまりは、2014シーズンの消耗戦スタイルの再現となろう。

消耗戦は投手陣でも同様で、ブルペン陣のスクランブル体制と先発投手陣の入れ替えでシーズンを凌ぐというやり方だ。こういうチームが優勝するのは、筆者の趣味に合わない。今季はなにがなんでも、他の5球団に読売のリーグ優勝を阻止してもらいたい。

◎球団、選手は健康管理に万全の備えを

読売における選手の健康管理に問題はないのだろうか。コーチ、トレーナーの中に、専門家がいないのではないか。選手の自主性にまかせて猛練習を続ければ、どこかにひずみが出てくるものだ。選手は成績を残したいから、厳しい練習を自己に課す。それは当然のことだけれど、第三者の目で適正化を図らなければオーバーワークが防げない。投手ならば自主トレからキャンプ、プレシーズンマッチを通じた球数制限が必要だし、打者ならば筋肉系の疲労の除去が重要となる。人間なのだから故障は避けられないと諦めるのではなく、故障を減らすシステムを球団が備える必要がある。選手も自費で専用トレーナーと契約するなどの自己投資が必要だ。

体づくりに細心の注意を払ったうえで万全の態勢でシーズンインし、野球ファンを楽しませてもらいたい。


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