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2015年02月27日(金) 読売は異様な選手編成をトレードで是正せよ

読売が23日、堂上剛裕外野手(29)と支配下選手契約を結んだ。堂上は昨オフに中日を戦力外となり、入団テストを経て、育成選手として読売入り。今キャンプでは、紅白戦を含む実戦7試合に出場し、24打数10安打で打率4割1分7厘、1本塁打、9打点をマークした。(2月23日現在)

◎外野手偏在の歪な野手陣

戦力外選手が人気チーム読売の育成として拾われ、支配下選手契約に至ったことは喜ばしい。だが、読売の選手構成からみると、喜んでばかりはいられない。読売の外野手は、フレデリク・セペダ、長野久義、亀井善行、鈴木尚広、高橋由伸、松本哲也、橋本到、金城龍彦、レスリー・アンダーソン、大田泰示、矢野謙次、横川史学、隠善智也、立岡宗一郎、そして、堂上剛裕と全部で15人。すし詰め状態だ。

まず1軍に登録できる選手が28人、うち25人がベンチ入り=試合出場が可能である。読売の場合はスタメンが9人、控えは野手が8人、投手が7〜8人の24〜25人がベンチ入りする。

仮にスタメンが一塁:阿部、2塁:片岡:3塁:村田、遊撃:坂本、左翼:セペタ、中堅:長野、右翼:亀井だとすると、内野専門の控えとして井端、寺内の2枠が埋まり、足のスペシャリスト鈴木の1枠が埋まり、捕手2枠が埋まる。つまり、外野手枠は4枠となり、高橋、アンダーソン、橋本、金城、大田、矢野に次ぐのが堂上の順位になる。1塁の阿部が故障の場合、堂上に先発のチャンスはあるが、井端、アンダーソン、亀井も1塁は守れるから、よっぽど好調でないと、堂上に先発のチャンスはない。代打の専門職として矢野、スイッチヒッターの金城もベンチ入りとなる可能性が高い。堂上の一軍出場の可能性はライバル選手の不調もしくは故障を待つしかないのが現実のようだ。

◎内野陣はレギュラーと控えの差が顕著

読売の戦力は他チームに比してほぼ2球団分と言われるが、外野に限れば3球団分に匹敵する。ところが外野手に比べて内野手の控えは弱体で、前出のとおり、寺内崇幸、井端弘和に加えて、藤村大介、中井大介、岡本和真、坂口真規、大累進、和田恋、辻東倫、吉川大幾と続くが、ベンチ入りする可能性の高いのは中井くらい。内野は他球団の戦力とあまり変わらない。

読売は歪な選手構成が際立っている。野手でたとえば、坂本か村田のどちらかが故障した場合、たちまち戦力が大幅ダウンする。なぜ読売は外野手ばかりダブついた選手構成に陥ったのか。

◎打てる内野手は希少価値

内野手の人材難は、実は読売だけではない。そもそも、打てる内野手を育てるのは難しい。守備がうまくて打撃も、という野手はなかなか見つけられない。希少価値なのだ。2014シーズンの打撃トップ20を見てみよう。

(セリーグ)
1.マートン(阪神).338
2.菊池(広島).325
3.山田(ヤクルト).324
4.大島(中日).318
5.ルナ(中日).317
6.雄平(ヤクルト).316
7.鳥谷(阪神).313
8.畠山(ヤクルト).310
9.丸(広島) .309
10.川端(ヤクルト).305
11.バレンティン(ヤクルト).301
12.筒香(DeNA).300
13.長野(巨人).297
14.森野(中日).288
15.ゴメス(阪神).283
16.坂本(巨人).279
17.平田(中日).277
18.上本(阪神).276
19.荒木(中日).268
20.大和(阪神).264

(パリーグ)
1.糸井(オリックス).331
2.銀次(楽天).327
3.柳田(ソフトバンク).317
4.中村(ソフトバンク).308
5.内川(ソフトバンク).307
6.李大浩(ソフトバンク).300
7.長谷川(ソフトバンク).300
8.陽(日本ハム).293
9.松井稼(楽天).291
10.メヒア(西武).290
11.栗山(西武).288
12.鈴木(ロッテ).287
13.岡島(楽天).283
14.角中(ロッテ).277
15.浅村(西武).273
16.今江(ロッテ).270
17.中田(日本ハム).269
18.T−岡田(オリックス).269
19.藤田(楽天).268
20.平野恵(オリックス).268

1塁手及び外国人選手を除く内野手で打撃20傑入りしているのは、セリーグで菊池(広島).325、山田(ヤクルト).324、鳥谷(阪神).313、川端(ヤクルト).305、森野(中日).288、坂本(巨人).279、上本(阪神).276、荒木(中日).268の8人。

パリーグで、※松井稼(楽天).291(今シーズンから外野コンバートか)、鈴木(ロッテ).287、浅村(西武).273、今江(ロッテ).270、藤田(楽天).268、平野恵(オリックス).268の7人。セパ併せて15選手(15/40)しかいない。

◎FAという安易な補強でチームは高齢化

金満読売球団はFA依存で強化を図ってきたが、資金力だけでは、偏った選手構成を是正することはできない。そこで有効なのが、トレードである。トレードの活性化は、読売に限らず、全球団に求められる。選手の流動化促進だ。

読売の場合は人気球団ゆえ、一度入団した選手は引退後を考え、進んで球団を離れたがらない。その一方、FAで読売に入団したい他球団の選手は山ほどいる。読売以外の球団で活躍した一流選手が、最後は「巨人(読売)で・・・」という思いも強いらしい。そのため、読売はFAでベテラン選手を安易に獲得してきた。そしてその結果、チームがいつのまにか老齢化し、球団としての魅力を失った。

◎全球団、トレードを活性化せよ

読売に限らず、日本の球団すべてがトレードによる強化を苦手とする。トレードで他球団に移籍させた選手が活躍されることを恐れているからだ。他球団で活躍されるくらいなら塩漬けにしておこう――というのが、日本の球団の「編成方針」にほかならない。

筆者は、才能のある選手が塩漬けにされることを望まない。筆者が読売の編成ならば、内野強化という名目で、菊池(広島)あるいは山田(ヤクルト)とならば、読売の外野手(亀井、アンダーソン、松本)の3対1のトレードでも獲得する。もちろん広島、ヤクルトは「イエス」と言わないだろうが。

あるいはもっと現実的なトレードとして、ロッテの鈴木とならば、橋本・大田との2対1でも成立させたい。ほかに組合せはいくらでもある。弱点を補強するには、余剰部分を削って、相手に差し出す覚悟がいる。自分のところだけ得をするトレードというのはあり得ない。


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