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2011年10月12日(水) “この試合は忘れたほうがいい”日本8−0タジキスタン

W杯アジア3次予選C組(11日、大阪・長居スタジアム)、日本は8−0でタジキスタンに大勝した。ワントップを残してゴール前を固めるタジキスタンに対して、ハーフコートの攻撃練習のような時間が90分続いた。トップ下起用の中村憲の大活躍、代表初先発のハーフナーの先制点など、ザック采配が的中し、日本の「良いところ」ばかりが試合結果に表れた。ザックジャパンにとって、万々歳の勝ち点3だろうが、この結果を手放しで喜んでいるサッカー関係者は一人もいまい。

練習相手に選んだベトナムよりも、本番の相手タジキスタンのほうが弱かった――笑い話の様なW杯予選である。タジキスタンのC組における過去の戦績は、ウズベキスタンにホームで0−1、北朝鮮にアウエーで0−1と落としている。2試合の内容はわからないけれど、いずれも1点差という僅差の敗北であり、日本戦のような大量得点を奪われてはいない。来日したタジキスタン代表に何があったのか、何もなかったのか知る由もないが、ボールをもった相手にプレスをかけない守備というのは、公式戦では珍しい。

開始早々、ハーフナーの高さで日本に先取点を奪われ、彼らは戦闘意欲を喪失したのであろうか。もしそうであれば、ザッケローニがハーフナーを先発させた采配がずばり的中したことになる。この試合を決めたのはザッケローニ監督の選手起用であり、その期待に応えたハーフナーということになる。

なお、アジア予選では、高さが強い武器になることを、筆者もかねがね当コラムで指摘してきた。日本の大勝により、このことが証明されてとてもうれしく思っている。

この勝利により、日本の3次予選C組突破の確率は高まったけれど、これで日本の代表サッカーは大丈夫というわけではない。中村憲が本田の代役を務められるとは確言できないし、故障の遠藤に対して、相手がきついチャージをかけていたら、日本がこれほどまで、落ち着いて試合を運べたかどうか。試合後、日本のキャプテン長谷部が「この試合は忘れたほうがいい」とコメントしたそうだが、核心をついている。さすが長谷部である。

11月11日、ホームのタジキスタンが日本に対して牙をむくか――楽しみである。


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